第5部 トリスタニアの休日
第5話 運命の密会
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内してください」
ウルキオラはアンリエッタを予備の宿の一室へと案内した。
アンリエッタはベッドの腰かけると、大きく息をついた。
「……とりあえず一安心ですわ」
「なにがあった?」
「ちょっと、抜け出してきたのだけど……、騒ぎになってしまったようね」
「誘拐されたばかりだからな。騒ぎにもなるだろう」
アンリエッタは黙ってしまった。
「お前は今は王だろう?随分と身勝手なものだな」
ウルキオラは皮肉に言った。
「しかたないの。大事な用事があったものだから……。ルイズがここにいることは報告で聞いておりましたけど……、直ぐにあなたに会えてよかった」
「ルイズに用があるのなら、今呼んできてやる」
「いけません」
アンリエッタは、ウルキオラを引きとめた。
「何故だ?」
「私が用事があるというのは、あなたのことです」
ウルキオラは目を見開いた。
「どういう意味だ」
「あなたのお力をお借りに参ったのです」
「俺の力だと?」
ウルキオラは低く唸った。
「あなたにしていただきたいことが二つあるのです。一つは私の護衛。もう一つはアニエスの援助」
「断る」
ウルキオラは一瞥した。
「何故です?」
「護衛なら王室にメイジがいるだろう。それに、知らん奴の援助などするつもりはない」
「確かに、無理なのは承知の上です。しかし、今日明日、わたくしは平民に交らねばなりませぬ。また、宮廷の誰にも知られてはなりません。そうなると……」
ウルキオラはゆっくりと目を閉じた。
「俺というわけか」
「ええ。あなたはご存じないかもしれませんが、わたくしはほとんど宮廷で独りぼっちなのです。若くして女王に即位したわたくしを好まぬものも大勢おりますし……」
それから言いにくそうに付け加えた。
「……裏切り者も、おりますゆえ」
ウルキオラはある人物を思い浮かべた。
「ワルドか?」
アンリエッタは軽く頷く。
どうしたものか。
俺に頼むということは、ルイズには頼めぬということ。
もしルイズならば、快く受けるだろう。
ちっ、と舌打ちをする。
どうやら、この世界に来てからというもの、俺はすっかり変わってしまったらしい。
グリムジョーあたりがみたら、なんというだろうな。
ウルキオラはそんなことを考えながら、アンリエッタを見つめた。
世界の残酷さの片鱗を知った目が、ウルキオラの目の中に飛び込んでくる。
「いいだろう。その任務、引き受けてやる」
「本当ですか?」
アンリエッタは軽く笑みを浮かべる。
「では、出発いたしましょう。いつまでもこの辺りには
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