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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第155話 ?越
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宗の判断に異議を唱えなかった。泉は少し納得できない様子だったが、朱里は納得している様子だった。泉は伊斗香の変わり身の早さに納得できないのだろう。自分が正宗を裏切るなんて考えたことはないからだ。ただ、伊斗香は「己の保身のために自ら破滅する愚を行うことなき君主」と話した。この意味を泉も理解したからこそ伊斗香の行動に一定の理解を示したのだろう。

「正宗様、畏まりました」

 伊斗香は正宗に拱手し深々と頭を下げた。

「正宗様、私が知り得る情報を全てお話させていただきます」

 伊斗香はそう言うと劉表と蔡瑁の最近の情報、それに荊州の最新の情勢を全て話した。その情報は朱里も掴んでいない情報が含まれていた。伊斗香が荊州で根を張り時間をかけて構築した情報網の凄さを物語っていた。

「劉荊州牧は私と同じ存念ということか」

 正宗は伊斗香の説明を聞き終えると徐ろに言った。

「正宗様、蔡一族は恭順の意を示そうと根切り(一族根絶やし)にすべきにございます」

 伊斗香は正宗に意見した。

「正宗様、?異度殿の意見に私も賛成です」

 朱里も伊斗香の意見に賛成なのか同意を示してきた。

「伊斗香、理由を教えてくれるか?」
「蔡一族の存在が荊州で大きくなったことが原因です。蔡一族は劉景升様の縁戚になることで、その地位を更に向上させました。そのせいで荊州において蔡一族の意見は重きものとなっております。蔡徳珪を殺すことで地位は凋落はしますが、強い影響力は温存されることと存じます。それは正宗様の荊州支配を邪魔することに繋がります」

 伊斗香は正宗に説明した。それを正宗は気乗りしない表情で黙って聞いていた。

「根切りということは幼子もいるのではないか?」
「正宗様、幼子とはいえ蔡一族。成長すれば禍根となりましょう。それに劉景升様の力を完全に削ぐ御積りならば、ここで蔡一族を根切りするが正解にございます」

 正宗は伊斗香の話を聞きながら哀しさを湛えた双眸で遠くを見つめた。

「正宗様、幼子を手に掛けることを受け入れることができない気持ちは重々承知しております。ですが、その犠牲で多くの者の命が救われることも事実です。ここで見逃し反乱を招く事態に陥れば更に犠牲が出ることになります」

 朱里は正宗を説得した。正宗は瞑目してただ朱里の話を聞いていた。

「朱里様、正宗様には考える時間が必要であると思います」

 泉は朱里に意見した。

「いいえ、泉さん。これは今直ぐに決めるべきことです。彼らが投降する前に兵を動かし、蔡徳珪を攻める前に蔡一族を滅ぼします」

 朱里は泉の意見を突っぱねると蔡一族を討伐すべきと意見した。

「朱里、栄奈はいつ宛城に到着する?」

 正宗は神妙な表情で朱里を見つめた。朱里
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