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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第155話 ?越
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正宗は背中越しに?越を確認すると自らの玉座に向けって歩き出した。その後を泉がついてくる。泉は銀槍を持ったままである。?越を武官の鎧に身を包んだままだが腰に剣を帯びていない。

「?治中従事、清河王がご着座されました。面を上げられよ」

 正宗が玉座に座り、その少し斜め右に泉が警護役として立つ。それを朱里が確認すると彼女は?越に言った。

「車騎将軍、此度は謁見の機会を賜り恐悦至極にございます。私は車騎将軍の発せられた檄文に感銘し、兵を引き連れ馳せ参じた次第にございます」

 ?越は顔を伏せたまま上半身を上げると拱手し正宗に対して挨拶した。そしてゆっくりと顔を上げた。

「?治中従事、荊州一の英才に会うことができ嬉しく思うぞ」
「勿体なきお言葉にございます」

 ?越は正宗に礼を述べた。

「?治中従事、お前は劉荊州牧の属官。荊州牧に許しは得たのか?」

 正宗は神妙な表情で?越に尋ねた。

「劉荊州牧に許しは得ておりません。此度は私の義心に従い、車騎将軍の元に馳せ参じました」

 ?越は予想通りの返答をしてきた。しかし、七千の兵を動かす以上、劉表が無視する訳がない。劉表が黙認したことは分かりきっている。だが正宗は?越に問いただすことはなかった。

「?治中従事、劉荊州牧への許しを得ずに私の元に参っては現在の役職を免じられても文句は言えんぞ。それに劉荊州牧に申し訳ない」

 正宗は杞憂の表情を浮かべ?越を見た。

「車騎将軍、覚悟は出きております。私は車騎将軍にこの身をお預けする所存にございます。七千の兵は私の子飼いの兵にございますれば、劉荊州牧とは一切関わりございません。どうぞお好きにお使いください」

 ?越は間髪入れず正宗に言った。

「そこ迄言われては?治中従事の気持ちを無碍にできんな。しかし、劉荊州牧の属官であるお前を手足のように使うのは外聞が悪い」

 正宗はわざとらしく困ったような表情を浮かべ?越に言った。

「車騎将軍、折り入ってお話したい議がございます。お人払いをお願いできませんでしょうか?」

 ?越は拱手をしたまま伏せた顔を上げた。

「人払いですか?」

 朱里が難色を示した。正宗の封土である清河国の国相である彼女はこの場で泉と同じく側近中の側近と言えた。その自分と泉に席を外せというのはおかしいと思ったのだろう。

「諸葛国相と満郎中令には誠に申し訳ございませんが車騎将軍のみにお伝えしたいのです」

 正宗は両目を細め?越を見た。彼は劉表の意を正宗に伝えにきたと思ったのだろう。彼は劉表の使者を悉く遠ざけてきた。?越の取った方法なら正宗は否が応でも会うしかない。

「私にしか話せないことだと? この場で申してみよ。両名は私の側近中の側近、この場で
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