第155話 ?越
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ないかと思います」
朱里は正宗の質問に素早書く回答すると自分の考えを述べた。
「?異度の面会の理由は聞いているか?」
「檄文に従い参上したと申しております」
正宗は朱里の言葉にしばし考え込んだ後口を開く。
「そう言われては会わない訳にはいかない。謁見するので部屋に通しておけ」
正宗が朱里に言うと彼女は拱手して去っていった。
「正宗様、朱里様に代理していただけばよろしかったのでは?」
「引き連れた兵が少ないのが気になってな。劉景升の意を汲んでいるなら七千の兵は少なすぎる。とはいえ劉景升は?異度の動きは承知しているはず」
「では劉荊州牧の意を組んでいる可能性があるのではありませんか?」
「その可能性はあるだろうが堂々と劉景升の影をちらつかせる愚を?異度ならしない。そんな真似をすれば劉景升が供出した兵の少なさから、私への恭順の意に疑念に有りと私が因縁を付けることは容易に想像つくはずだ」
正宗は泉を見て答えた。泉は正宗の説明を受けて納得したように何度も頷いた。
「正宗様、?異度はどのような人物なのですか?」
「?異度は劉景升の片腕と言える人材で荊州一の英才と呼ばれる人物だ」
「それほどの人材ですか?」
「?異度は私の家臣に欲しい人材だが、荊州でこそ最も才を活かすことができるだろう。美羽の家臣に是非に迎えたいと思っている。そのためには劉景升の存在が目障りと思わぬか?」
正宗は視線を泉に向けた。
「劉荊州牧を暗殺されるのでございますか?」
泉は正宗に近づき周囲を窺いつつ小さい声で囁いた。正宗は頭を振った。
「劉景升は使い道がある。直ぐに始末する必要はない。ただし、劉景升はこの後必ず扱いに困る人材ではある。同じ劉氏であることを笠に増長されては敵わんからな」
「劉荊州牧はいずれ始末するということでございますね」
「まずは劉景升の出方次第であろうな。蔡徳珪を始末した後、劉景升は荊州牧に据え置くが時期を見て荊州刺史に降格させるつもりだ」
「武力と財力を削ぐのでございますね」
泉は笑みを浮かべ正宗に尋ねた。正宗は軽く頷いた。
「泉、?異度に会いにいくとするか。私は服装を整える。泉、お前も郎中令に相応しい礼服に着替えて来るのだ。面倒臭いが?異度に会うなら致し方無い」
泉は正宗に対して拱手し頭を下げると自室に向かって去っていった。正宗は泉が去るのを確認すると自らも自室に向けて歩き出した。正宗が王に相応しい出で立ちに着替えた頃、着衣を整えた泉が正宗の部屋にやってきた。その後、二人は?越に謁見するために屋敷の応接室に向かった。
正宗と泉が応接室に入室すると?越が正宗の玉座を正面にして平伏し待っていった。朱里は正宗の入出を確認すると拱手して出迎えた。
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