響ノ章
警備隊
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さらし姿となる。
「立場を変えただけじゃないですか」
「響ちゃん、これならなんとか下も隠せるでしょ?」
そう言いながら、鳳翔さんは半ば強引に服を着せた。
「服の変えは?」
「私の私室に」
「では、行きましょう。私もすぐに響ちゃんの部屋に行くから少し待っててね」
そう言って鳳翔さんは指揮所の前で私と別れた。
私室へ向かう途中、遠くに聞こえていた爆発音は、少しずつこちらへ近づいてきていた。そうして寮につく間際、私はある男たちに出会う。鳳翔さんから服を借りていて、本当に良かった。
「響殿、何故此処に!」
そう言ったのは、警備隊の人だった。彼は私を見つけてしまったことに酷く動揺していた。
「どうしたの?」
「我々は湾内に侵入した敵艦隊の囮役です。今現在重巡洋艦に追われています。 おい、誘導位置を変えろ! 此処に響殿が居るぞ!」
言う間も、時折近くで爆発音が響いた。
「私はこれから再武装し出撃する。援護できる?」
「不可能です。湾内には既に敵艦隊が侵入しています。出撃すれば忽ち蜂の巣、出撃より前に殺されるかもしれません。撤退を。後は我々が戦います」
「何を……私は艦娘です。戦っている人を尻目に尻尾を巻いて逃げれますか。貴方方こそ逃げてください」
「何を言いますか。我々は人間です。貴方の、貴方達の為に戦わずして何が……何が男か! 何が警備隊か!」
応と、彼の言葉を聞いていただろう数人が答えた。これは、彼らの心の叫び、なのだろうか。
「響殿を止める権限は私にありません。ですから共に行きます。微力ながら助太刀しましょう。では、その為に……私は行くぞ」
突然に、彼は手を上げた。そうしてそれに呼応するように、他の数人が手を上げた。
「十分だ。各自着剣!」
着剣と復唱して、彼とその数人は持っていた銃、恐らく九九式に銃剣を付けた。
「何のつもりですか」
「既に上陸した重巡洋艦を叩きます。何、今や奴は湾内の戦艦からは死角です。撃破は難しくありません」
では、何故着剣したのか。それはきっと、もう残弾が残り少ないながらも、今、絶対に倒さなくてはならない理由が出来たからではないのか。そんな危険を侵さなければならないと思ったからではないのか。
では、何故そう思ったのか。そうさせたのは誰なのか。
「やめてください!」
私の叫びは聞き入れることはなく、彼は仲間に号令をかけていく。
「ここに残る者は響殿の護衛だ。一つのかすり傷もつけるなよ」
「了解」
仲間の返答を受け取ると、彼は携帯無線機に声を投げる。
「甲班、首尾は」
「敵重巡洋艦、十分に引き寄せています。位置は赤煉瓦の裏手」
「只今よりこちらの人員を使い撃滅を図る。接近戦になるため銃撃は避けるように」
「了解」
彼は無線機を置くと、仲間を
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