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ストライク・ザ・ブラッド〜原初の生命体たる吸血王〜
聖者の右腕
#2
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な。私もそれなりに気にしてるんだよ。あの子等を止めれなかった事とかな」


 那月の事をツッキー≠ナはなく、那月≠ニ呼ぶフランに萎縮して口を噤む那月。


 フランが言葉を紡ぐ度に高まる魔力。そしてそれに呼応するかの如く、蒼の瞳はみるみる赤く、紅くなっていく。

 フランの従える無数の眷獣達もそれに同調したのか、フランの体から炎の様な、氷の様な、雷の様な、水の様な、毒の様な、光の様な、闇の様な、様々な気質を持つ魔力が漏れ出し、その魔力がそのまま放たれるかと思われた。


 しかし―――

「…………わかりました。わかりましたから、瞳を紅くしないで下さい、フランさん。お願いします」

 ―――那月の、消え入りそうな泣き声により、その魔力は霧散し、眷獣達も鎮まり、フランの瞳も元の全てを包み込むような鮮やかな蒼に戻った。


「…………スマンな、ツッキー。どうにも、な」
「いえ。気持ちはわかりますから」


 互いに謝罪をする2人。そして訪れる気まずい沈黙空間。

 数分そんな時間が続き、そんな雰囲気をどうにかしようと、フランが昼間の話題を振った。


「そう言えば、ガジュマルと変態獣人(あの子)はどうなった?」
「……罰金払わせて釈放だ。セクハラで起訴しました、なんて事になったら面倒しかないからな」
「ふむ。獅子王機関の剣巫(世間知らず)が相手なら尚更、か」


 獅子王機関の剣巫がセクハラ(半分逆恨みによる魔族殺し未遂)で魔族二人を起訴なんて、それこそ条約締結を承認した三人の真祖(フランの子等)に対する冒涜である。それ以上に、安易に実力行使に走ったことで、獅子王機関の組織としての倫理観も関ってくる。故に穏便に済ませたのだろう。


「とにかく。余計な事をしないように見張っておけよ」
「監視者を監視、ねぇ。柄じゃ無いんだがなぁ。そんなのはモッキーにでもやらせておけばいいのに」


 暴れ回る方が得意なんだけどなぁ。唯でさえモッキーの手伝いメンドイし。と、フランが言おうとすると、『お湯張りが、終了しました』と機械音声がリビングに響いた。


「っと、風呂が湧いたか。どうするツッキー、昔みたいに一緒に入るか?」
「――――ッ!?」


 フランが笑いながら那月にそう言うと、那月は顔をこれ以上無いくらいに真っ赤にし、転移してリビングから消えた。


「――まあ冗談だが。……ってツッキー? ドコ行った? ツッキー?」


 那月が転移してリビングから居なくなっているのに気付かなかったフランは、頭の上に?を五つ程作り、首を傾げていた。


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