秋山 駿
第一章 崩壊する生活
第六話 力の差
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っ暗になり、次に見えたのは自分の口から吐き出された鮮血。
赤く染まる視界に何とか喜瀬を捉えるも、その姿は醜く歪む。
耳鳴りが止まない、谷村は何か叫んでいるのだろうか。
そんな中喜瀬は、無慈悲に拳を振り上げていた。
「ちぃっ!!」
間に割り込んだ谷村が攻撃を受け流そうと、その拳を受け止める。
しかし拳は想定外の重みを持ち、受け流そうと出した腕はおろかその体ごと後ろへと吹き飛ばされた。
それと同時に秋山も、膝から崩れ落ちる。
圧倒的な、力の差。
飛ばされた後すぐに起き上がった谷村の口から、「化け物かよ」という言葉が漏れる。
何とかなるなんて甘かった。
軽率な考えに、谷村まで巻き込んで。
秋山は何とか体を動かし、喜瀬を睨む。
だが上手く動かせない体に腹が立ち、拳を地面に打ちつけた。
遥は目の前、神室町ヒルズにいる事はわかっている。
しかし伸ばされた手が、遥に届かない。
目の前にそびえ立つ獣のような闘争本能を持つ喜瀬は、恍惚の表情を浮かべ2人を見下していた。
周りにいた喜瀬の組員も、怯えた表情で震えている。
「何をしてるっ!!」
怒号のような、誰かの声が突然飛んでくる。
ガラリと、空気が変わった気がした。
声のした方に視線を移すと、そこに立っていたのはスーツの男。
……大吾だった。
「喜瀬、こんな所にいたのか」
「6代目、お疲れ様です」
「何をしている。とっくに、合流時間過ぎているぞ」
「ちょっと遊んでただけじゃないですか、6代目も堅いなぁ」
さっきまでの喜瀬の覇気はどこかに消え、あっけらかんとした顔に戻っている。
喜瀬が2人から離れると、入れ違いで大吾が近付いてくる。
「夜、ミレニアムタワー屋上でお待ちしております」
そう秋山に告げ、そのまま喜瀬と共に去っていった。
去っていく背中が見えなくなるまで見届けた後、谷村の肩を借りボロボロの身のままスカイファイナンスへと戻る。
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