37部分:第三十七章
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間違いなく」
速水が沙耶香に答える。
「これで確実に」
「じゃあ成功ね」
彼女は速水の言葉を聞いて会心の笑みを浮かべる。今目の前では魔法陣が炎の中に包まれ燃え盛っていた。それこそが二人の勝利の証であった。
黒い炎が天まで届かんばかりに燃え上がる。二人はその側で気配を探っていた。
「まだ生きているのでしょう?」
沙耶香が言った。
「あれだけの術を使う貴女が。そう簡単に倒れる筈がないわよね」
「わかってるみたいね」
少し離れた場所から声がした。そこに依子が姿を現わした。
彼女は輪の衝撃にも炎の熱にも耐え切っていた。だがそれでも傷は受けており所々焼けて怪我をして片膝を着いていた。だがその目はまだ死んではいなかった。
「流石と言うべきかしら」
「それは褒め言葉かしら」
「そう受け取ってくれるのならそれでいいわ」
依子は片膝をついたまま言った。
「まさか失敗するなんてね、ここで」
「私達をここに誘い込むつもりもあったのよね」
「ええ、そうよ」
その言葉にも応えた。
「結界を張ってね。魔法陣で滅ぼしてあげるつもりだったけれど」
「そうはいかなかったわね」
「今回はね」
だがそれでも依子の心まではダメージを受けてはいなかった。依然として強い光を目から放っている。その光は倣岸なものはあっても決して嫌悪感を抱かせるものではなかった。
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