第30話 黒の剣士、再会する
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「ん…っんん……っ!」
目を開け、見慣れた天井が目に入る。意識が覚醒した瞬間、俺はナーヴギアを素早く外し、ジャケットを手に家を飛び出した。スグの声が聞こえたが適当に聞き流し、気にせず自転車に飛び乗り、病院を目指した。暫く走ると、病院が見えてきた。
職員用の小さなゲートから入り駐輪場に自転車を止めて、駐車場を通り抜け病院の入り口を目指して走った。すると車の陰から誰かが現れたので、ぶつからないように体をずらして脇を通り過ぎようとした。だけどその時……
「……グッ!?」
何かが俺の腕を掠った。そして少し遅れて、鋭い痛みを感じた。
「やぁキリト君、遅かったじゃないか」
「!?」
その声に、俺は振り向いた。車のドアに寄りかかり、片手に鋭く光る物を握り、茶色いコートを着た痩せ型の男。
「――須郷ッ!!」
以前に会った時に感じたエリート特有の空気は、見る影もなかった。髪は乱れ、顔面の筋肉は奇妙に引きつり、左右の瞳で瞳孔の大きさも違った。
「酷いことするよね、キリト君?君のおかげで体中の痛覚がまだ消えないよ…」
俺は斬られた片腕を抑えながら須郷を睨み付ける
「もう諦めろ須郷……お前のしたことは決して許される事じゃない。コトが大きくなる前に大人しく自首をオススメするぜ?」
「自首?なんで?どうして僕がそんなことを?する必要なんてないね。僕を欲しいって企業は山ほどあるんだ。研究を完成させて、今度こそ僕は本物の王に……この世界の神になれる!」
「……もう思考がまともじゃないか…」
強気を見せるが、今の状況は俺の方が圧倒的に不利だ。武器になる物は無い。さっきまで自転車で走ったおかげで体力はそんなに残ってない。俺がどうやってこの状況を考えていると須郷は一気に攻めてきた
「うわっ!?」
頬を斬られながら足を滑らせて倒れてしまった。そんな俺に須郷は容赦なく踏みつけてきた
「ぐっ!」
「おい立てよ……こんなもんじゃ僕の怒りは収まらないんだよ。僕の足を引っ張りやがって……」
「ぐっ…がっ…」
須郷は呟きながら俺の腹を何度も蹴り飛ばし、次の瞬間、握っていたナイフを高く上げ、俺に向かって振り下ろしてきた
「何の力も持ってないクソガキが、僕の足を引っ張ってんじゃねえよぉぉぉぉぉぉっ!!死ねェェェェッ!!小僧ォォォォォッ!!!!」
「キリトォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」
倒れている俺の耳に須郷とここに居るはずが無いタカトラの声が聞こえたけど、俺の目には全てがスローモーションに動いてるように写った。ああ、これが走馬灯かと他人事のように感じていたが、こんな状況でもやっぱり
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