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俺と乞食とその他諸々の日常
二十五話:魔女っ娘と日常
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おまけ〜ある朝目が覚めると小動物になっていたリヒター〜


俺の名前はリヒター・ノーマン。しがない高校生だ。
……取りあえず落ち着くために自己紹介してみたがダメだった。
全く分からない。一体どういうことだよ、なんで目が覚めたら―――


「ニャーッ!(猫になっているんだよーッ!)」


 力いっぱい雄叫びを上げてみるが聞こえてくるのは可愛らしい鳴き声だけだった。
 念話で誰かを呼ぼうかとも思ったが猫になったせいかできなかった。
 おまけに端末もこの手では操作できない。

「ナァ、ナッ! (こうなったら外に出て助けを求めるしかない!)」

 俺は意を決して外に飛び出していく。
まずは猫に詳しそうなアインハルトちゃんを探そう。
 いつもトレーニングしている場所まで駆け続けるとアインハルトちゃんと無事遭遇できた。
 ヴィヴィオちゃん、リオちゃん、コロナちゃんもいるのは好都合だ。

「ニャン!(お願いだから助けてくれ!)」
「猫…ですか?」
「もしかしてティオのお友達ですか」
「にゃあ?」

 違うそうじゃない、俺だ、リヒターだ! お願いだから俺だと気づいてくれ。
 あ、ティオが近づいて来る。賢いティオなら俺だという事に気づいてくれるはずだ。
 案の定、不思議そうな顔をしながらも体をすりよせて甘えてくるティオ。

「にゃ!」

 キリッと顔を上げてアインハルトちゃんに何事かを伝えるティオ。
 よし、でかしたぞティオ! これでこの姿ともおさらばだ―――

「そうですか、お友達ですか。よかったですね、ティオ」
「ニャ!? (なんでさ!?)」
「にゃあ!?」

 二匹でツッコミを入れるがアインハルトちゃん達はその様子を微笑まし気に見つめるだけだ。
 しまった、俺の言葉が通じないようにティオの言葉もまた通じないのだ。
 ……まずい、このままだと一生猫の姿で過ごすことになりかねない。

「この子可愛いなー」
「あ、リオ私にも撫でさせてよ!」
「ヴィヴィオは後で」

 ……別にこのまま猫の姿でもいいかもしれない。
 よくよく考えたら家猫になれば飯の心配は一切する必要はなく毎日好きなだけ寝ていられる。
 実はこれはチャンス?
 いや、人間としての尊厳が俺を許さない! やはり戻らなければ。

「あれ、ヴィヴィちゃん達やない。何しとるん?」
「ナァー! (ジーク来たー!)」
「はわっ! ど、どないしたんこの子」
「ニャ! ニャニャ! (俺だ、リヒターだ! 気づいてくれ!)」

 ジークに飛びかかり腕の中でつぶらな瞳で訴えかけるとジークは何やら小難しい顔で俺を見つめる。

「なんか、この子…どことなくリヒターに似とる気がする」
「ニャン(そうだ、俺だ)」

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