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恋姫†袁紹♂伝
第25話
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せられた一言で酔いが醒める。正確にはまだ酔っていたが、周瑜の話しに耳を傾けられる程度には理性を取り戻した。

 そもそも先の一件、張勲の手の者による手柄の横取り、孫呉の知として動いてきた周瑜が察知でき無い物だろうか、答えは否、自分達に手勢を預けてきた時点で彼女はそれを予測、対策を立てていた。
 対策と言っても、張角の首を討ち取り次第、早馬で朝廷に届け報告するという単純なもの。
 後から要求された所で首が無ければ意味が無い。難癖つけられたとしても、『此度の乱に早々に決着をつけ、漢王朝の安定の為に迅速に動いた』とでも言えば王朝の存在が盾になり、ぐうの音も出ないはずだ。

 
 

 

 時は遡り、袁紹等が黄巾を降伏させていた同時刻、かねてから懸念を抱いていた甘寧は真相を探るため、三姉妹が監禁されていたとされる屋敷に戻って来ていた。

「どうだ! 見つかったか!?」

「だめだ。一人も見当たらない……」

「そんな……天和ちゃん……」

「……」

 人の気配から物陰に隠れ覗き込む、すると、屋敷を見張っていたであろう男達が慌てている。
 彼等は趙雲に気絶させられた者達だ。何故彼女が意識を奪う程度に留めたか不明だが、この状況は甘寧にとって僥倖(ぎょうこう)だった。

「っ!? 誰だ!!」

「女? 官軍か!?」

「まさかお前が――「待て」」

 姿を現した甘寧に殺気立つ、彼女は待ったを掛け、剣を鞘に収めることで敵意が無いことを伝えた。
 その行動に黄巾達は疑問符を浮かべているが、甘寧は構わず続ける。

「――その屋敷に居た『張角』は官軍で保護している」

「え!?」

 甘寧の言葉に男達は顔を合わせる。その表情には驚きの色が強く出ているが、もう一つ、安堵の感情が感じられた。

 ――やはり趙雲が連れていたのは……、甘寧はほぼ確信を得ながらさらに畳み掛けた。
 
「偽の『張角』は広場で討たれた。黄巾は降伏、お前達の戦いは終わったのだ」

「あの偽者野郎、討たれたのか」

「天和ちゃんの名を使って悪さした末路だべ」

「ちげぇねぇ」

「……」

 自分達の守りたい人物が無事だとわかり安堵していた男達は、甘寧の全てを知っているような口ぶりも相まって、無警戒に口を開く。
 
 ――やはり! 彼等の口ぶりで甘寧は確信する。あの三姉妹こそが張角達だったのだ。
 何故偽の男が手配書に描かれ、袁家がそれを知っていたかは不明だが……




「……それは確かか?」

「ハッ」

「後で間違っていましたでは済まされんのだぞ」

「この命にかえても、真実であると進言いたします」

「……」

 『張角』の首を早馬で届け出す前に、戻ってきた甘寧の
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