暁 〜小説投稿サイト〜
恋姫†袁紹♂伝
第25話
[1/6]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 ―広宗での戦いから数週間後、荊州、袁術の屋敷―



「困ります! 面会の許可を頂いていません!!」

「袁術様と張勲様は多忙を極めております。どうか今日のところは――」

「どきなさい!!」

 張角の首の一件から孫策は、袁術――そして張勲に謁見を求めた。だがそんな彼女を嘲笑うかのごとく期日を先延ばし。ついに堪忍袋の緒が切れた彼女は直接屋敷に乗り込んだ。

「大事な用なの、これ以上は待てないわ――」

「うっ」

 その言葉に孫策を制止させていた兵士がたじろぐ、例の一件から時間は経ったものの彼女の怒りは色あせていない。幾らか理性を保てているだけで、殺気に近い怒気を静かに発していた。

「双方お待ちを、袁術様から謁見の許可を頂いてまいりました」

「……どういう風の吹き回しかしら?」

「当家までご足労頂いた孫策様を無碍には出来ないのとこと、他意はございません」

「……そう言う事にしておいてあげるわ」

「感謝致します。では、私の後に」

「ええ」

 一触即発の空気の中、現れた兵士の言葉によりその場は取り持たれた。
 そして袁術達の所へと、兵士に続いて歩き出す。

「貴方、確か張勲の側近よね?」

「はい、非才な身では在りますが」

「ふぅん、非才……ね」

 よく言うわ、と孫策は兵の背中に目を向ける。先ほどの場で自分の怒気に怖気づかず。こうして前を歩きながらも背後の警戒を怠っていない。袁術軍にも隠れた逸材がいたようだ。

 だがこの逸材は張勲の側近、どのような経緯があったかは不明だが忠を置いている様子。
 勿体無い。そう思いながら追従した。




「こちらでお待ちです」

「そう、案内ご苦労様」

「いえ」

 謁見の間まで案内したその兵士に軽く会釈して入室する。その際に武器の類は取り上げられたが――使う場面は無いはずだ。

「良く来たのう孫策、黄巾ではご苦労だったのじゃ」

「……」

「お嬢様のありがた〜いお言葉を無視するなんて、お仕置きものですよ?」

「ピェッ!? お仕置きは嫌なのじゃ〜」

「やーん、お嬢様じゃありませんよ〜、あそこにいる猪です」

「なんと!? 孫策は猪だったのかの?」

「じゃなきゃ此処に一人で来ませんからね〜」

「知らなかったのじゃ……」

 孫策は歯軋りしながら耐える。見え透いた挑発だ。
 
 武器は入り口で取り上げられている。謁見の間の兵士達も帯剣していない。
 万が一戦闘になった場合、武器を取られない為の処置だろう。素手でも負ける気はしないが、流石の孫策も多勢に無勢で掴みかかられたら、ひとたまりも無い。

「今日は、張勲に話しがあって来たわ」

「私にで
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ