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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七十二話 混迷
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は如何したのでしょう?」
「ガイエスブルク要塞で行って来たのだろう。となれば敢えてイゼルローン要塞で行う必要は無い」
「なるほど、あれが有りましたな」

厄介な相手だ。謀略を得手とするから多少は実戦に疎いかと思ったがこちらが嫌がる事ばかりする。機を見るに敏だな、それだけ手強い。
「参謀長、ヤン提督は今どの辺りかな?」
「パランティアには着いているでしょう」
参謀長がスクリーンに映る星系図を見ながら答えた。

「ビュコック司令長官は?」
「……ポレヴィト星域を抜けランテマリオ星域に向かっているかと思いますが……」
ランテマリオからジャムシードは民間船も使用する航路だ。安定しているし航行は容易だから時間も計算出来る。後二週間もすればジャムシード星域に到着するだろう。但し、敵に引き留められていなければという条件が付く……。

「エルゴン星域でヤン提督が追い付くのは無理だな」
「はい」
「やはりシヴァ、ジャムシードで合流か」
「そうなると思います」
如何する? ヤン・ウェンリーはパランティアから航路通りにアスターテ、エルゴン、シヴァを目指すか? それとも航路を外れて直接エルゴン、又はシヴァを目指すか……。

航路を外れた方が時間は短縮出来る。だが航路を外れれば宇宙嵐、磁気嵐等が頻繁に起きやすいという危険も有る、だから航路として使われないのだ。通信は途絶えがちだし場合によっては足止めを食いかねない、或いは艦に損傷を受ける恐れもある。だが帝国軍の進撃は速い、航路通りの航行では追い付かない可能性が出て来ている。場合によってはこちらが各個撃破の対象になってしまう……。溜息が出た……。



帝国暦 490年 3月 23日  オーディン 統帥本部  シュタインホフ



会議室に入ると中に居た男達が一斉に起立して敬礼をしてきた。それに応え席に座ると男達も席に座った。コの字型に並べられた会議卓を十人程の男、軍人達が囲んでいる。一人が立ち上がり近付いて来た、手には書類を持っている。ツィンマーマン大佐、所属は作戦部だった筈だ。

「これを御覧ください」
大佐が書類を私の前に置いた。そして席に戻る。使えん奴だ。手に取ってパラパラと見てみた。作戦計画書のようだな。
「誰か説明しろ」
「……」
皆、顔を見合わせている。率先して立ち上がる者は居ないらしい。

「ラインベルガー!」
「はっ!」
統帥本部作戦部長、ラインベルガー大将が慌てて立ち上がった。内乱の後大将に昇進、作戦部長に就任した男だがどうにも胆力の無い男だ。イライラする。出来の良い奴は皆ヴァレンシュタインに取られてしまった。統帥本部はアホばかりだ。

「説明しろ」
「はっ!」
書類には重要な部分とそうではない部分が有る。重要な部分は口頭でも報告するの
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