暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン31 未知の鉄砲水と帰ってきた『D』
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しい。危ない危ない。

「別に、たいしたことじゃない。彼が僕に対してサインを求めてきてね、ペンも色紙もないからどうしようかといっていたところさ」

 ここでエドのナイスフォローが入る。いくらプロだからってエドのサインは別にいらんのだけど、ここでそんな空気の読めてないことを言ったら余計にこじれるだけなので大人しく頷くのみにしておく。まだ胡散臭そうな視線を向ける葵ちゃんを尻目に、若干芝居がかった態度でエドがスーツの内ポケットから1冊の手帳を取り出した。そこにどこからか取り出したペンでさらさらと何事か書き、そのページを破って僕に押し付ける。

「ほら、とりあえずはこれでいいだろう?」
「何となくスッキリしないですが……まあいいでしょう。エドさん、斎王様が探しておられましたよ」
「斎王が、ねえ。わかった、今から向かおう。そういうわけで、悪いが僕は先に失礼するよ」
「そうですか。では、私もこれで。さようなら、先輩」

 最後にこちらに目配せをして、エドが去っていく。ここは、エドに助けられたか。ふと渡された紙に目を向けると、そこには無駄にきれいな字で、

『勝負は預けた。伏せは秘密だ』

 と書いてあった。まったく、気障なもんだ。

「せっかく引いたってのに、ねえ?」

 もう片方の手に持っていた最後のドローカード、お互いの受けるあらゆるダメージがターン1往復の間だけ問答無用で0になる通常魔法カードの一時休戦に声をかける。まあ、向こうの伏せが分からない以上今回は引き分けということにしておこう。結局エドが先に独りで斎王のところに行ったけど、彼は勝てるだろうか。わからないし僕にはどうすることもできないけど、せめてエドが勝てるように祈っておいてあげよう。
 ……決してここでエドが斎王を止めてくれたらこっちが何もしなくていいから楽だなー、とかそんなことを考えたわけではない。うん、そんなわけではない。実はちょっぴり思ったりもしたけど、それはメインの思いじゃないからギリギリセーフ。ただ、十代の言葉を借りれば、エドは僕とデュエルしたんだから僕の仲間だ。仲間が勝つのを祈るのは、当たり前のことだからね。
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