33部分:第三十三章
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けね」
「ええ、それでは次は」
「待って」
だがここで沙耶香の念が辺りを覆った。
「今度は私が」
「左様ですか」
「ええ、あの時はかなり苦労したけれど」
「御婆様にね」
「そうよ。けれど今はあの時とは違うわ」
その周りに無数の蝶を漂わせていた。夜の闇の中で幽玄に舞っている。
「それを見せてあげるわ」
蝶がゆっくりと舞いながら依子に襲い掛かる。依子はそれを見据えながら余裕のある笑みを浮かべていた。
「確かに御婆様は凄かったわ」
依子は言う。
「私に魔術を教えてくれたし。けれどね」
その整った琥珀の目が不気味に光った。闇の中で紫色に輝いた。
「ムッ!?」
「私は。その御婆様より上なのよ」
「まさか」
目が輝いただけであった。それだけで沙耶香の周りの蝶達が崩れ落ちていったのだ。まるで霧の様に消え去った。
「如何かしら」
その目を輝かせたまま言う。
「私の魔術。御婆様とどちらが上かしらね」
「くっ」
「どうやら尋常ならざる相手みたいですね」
眉を微かに歪めさせる沙耶香に速水が述べた。
「そうね」
答えはしたがそこにある自信は微塵も揺らいでいない。
「そうでなくてはね。面白くはないわ」
「けれど負けたらどうします?あの方のお孫さんですよ」
「あら、変なことを言うわね」
沙耶香の言葉は落ち着いたままである。いささかも変わりはしない。
「それが速水丈太郎の言葉かしら」
「私は心配性なので」
「じゃあ私は松本沙耶香としてやらせてもらうわ」
また新たな蝶を周りに浮かび上がらせる。
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