第二百二十話 戸次川の戦いその一
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第二百二十話 戸次川の戦い
織田家、即ち天下の軍勢は二手に別れていた。家康は徳川家の軍勢と大友、龍造寺を率いて肥後の方に向かっていた。
その時にだ、榊原が家康に言って来た。
「殿、肥前の守りは固めていますが
「それでもじゃな」
「肥前の島の辺りは」
「島原やそうしたところはか」
「以前よりです」
それこそ九州の大名達が九州の覇権を巡って争っていた時よりだ。
「大友、龍造寺、島津のそれぞれの家の間を行ったり来たりです」
「その位置が定まっておらぬな」
「それが為にです」
「龍造寺隆信殿も兵を進められてじゃな」
「はい」
榊原の顔がここで引き締まった、そして主に言った
「沖田畷において」
「島津家に討ち取られておるな」
「左様です」
「あの戦のことはわしも聞いておる」
家康もまた鋭い目になり榊原に答えた、そして己の周り、話が聞こえそうな距離は全て黄色の服と具足の徳川の者達ばかりなのを確かめてから彼に言った。
「あの戦はな」
「はい、龍造寺殿が討たれましたが」
「あれは隆信殿がじゃ」
「迂闊でした」
「島津家は見事な勝利じゃったが」
「そもそもです」
榊原は言った。
「龍造寺殿が迂闊に過ぎました」
「大軍でも沼地に囲まれた狭い道を通れば」
「そして周りに伏兵がおれば」
「敗れるわ」
「あそこまで」
「龍造寺家は隆信殿が討たれ」
文字通り首を取られた、大名自身が討ち取られるという戦国の世でもそうはない事態となってしまったのだ。
「そして多くの家臣もな」
「討ち取られました」
「そして兵も多く失った」
「大友殿も耳川でそうなりましたが」
そして大友家は衰えた、だがというのだ。
「龍造寺殿は」
「それ以上じゃったな」
「ほぼ終わりました」
龍造寺家自体がというのだ。
「今の主の政信殿は然程力がありませぬ」
「精々五万石の方か」
「それでも多い位かと」
「しかもお身体が弱いというしのう」
「この度は参陣はされていますが」
それでもというのだ。
「数には入っておられます」
「それが限度じゃな」
「そうしたものです」
「それではな」
「はい、龍造寺家よりもです」
「執権であった鍋島殿の方がな」
「力があります」
それが今の龍造寺家の状況だ、信長も大友家や龍造寺家はその石高を多いに減らすことを決めている。
そしてだ、その両家よりもというのだ。
「立花、高橋そして」
「その鍋島家じゃな」
「多くの領地を織田家の方々に分け与えるとのことですが」
「当然じゃな」
家康はこう返した。
「それはな」
「今の九州の有様では」
「島津家は三国だけとなる」
薩摩、大隅、日向のだ。
「してその他の国を
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