第八十三話
[1/8]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
先日、あのガンゲイル・オンラインの最強プレイヤー決定戦、バレット・オブ・バレッツ――こと《BoB》の予選が終了し、決勝戦を遂に当日に迎えた日曜日。予選の各ブロックの準優勝者まで決勝戦には進めるということで、予選ではリーベに敗北した自分も、何とか決勝戦には出場は出来る。キリトにシノンも揃って決勝戦に駒を進めたらしく、あとは《死銃》を見つけるのみ……リーベに、恐らくはあの灰マントの男とも、決勝戦で決着をつけることになる。
開始は20時。それまで特に用事もなく、鍛錬かキリトと連絡や相談、一足早くGGOにログインしての下準備、リーベやあの灰マントを探す――など、用事がないならないなりに様々なすることがあるのだが、それらの予定は一瞬にして全てキャンセルされた。
『あ、もしもし翔希? 今日さ、ちょっと会える? バイトもあるだろうから、10時くらいにどっか喫茶店でさ!』
――という里香からの留守電が、知らない間に表示されていたために。
「翔希! こっちこっち――」
まだまだ寒い日が続く中、急ぎ防寒具を準備して身だしなみを整えた後、待ち合わせ時間の五分前に到着する。大型のショッピングモールの一角にある喫茶店、そこにはやはり既に里香がいて、こちらに向かって手を振ってくる……が。ふと、俺の顔を見て少し動きを止める。
「……どうした?」
「う、ううん。何でもない。それより、行きましょ!」
そう言いながら、里香は俺の手を握って走りだす。少なくない人を器用にもかき分けながら、こちらに笑いかけてどこかに向かっていく。
「お、おい? 喫茶店で話があるんじゃなかったのか?」
「それはあと! どっか遊びに行きましょ!」
「分かったから走るの止めろって……!」
心臓に悪いというか危ないというか。里香はちょっと不満げな表情をしながらも、俺の言葉に従って走るのを止めると、代わりに俺の後ろに移動していく。右手は繋いだまま、先程とは逆に、俺が里香をエスコートしているような状態となる……見た目だけは。
「エスコートは男の子の仕事よね?」
「はいはい。じゃあ……」
早くも完全に里香のペースだが……まあ、たまにはこういうのも悪くない……たまには、というよりは、普段からこんな調子な気がしないでもないけれど。つい癖で髪の毛をクシャクシャにしながら、見上げてくる彼女の期待に応えるために、ショッピングモールを見渡していく。
「確か……階段の上にゲームセンターがあったっけ?」
キリトが好きそうな、VRゲーム以前のレトロゲームが集まったゲームセンター。以前何回か里香と対戦してみたことがあるが、反射神経のみを競うようなものでなければ、大体が俺の連戦連敗だった。モグラ叩きのみなら俺の全勝なのだが、女子に得
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ