第八十三話
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って?」
「えーっと……あ、とりあえず出なきゃ!」
同様に自身の性格診断を苦い顔で眺めていた里香にも聞いてみるが、自分たちの後にもまだまだ長い行列がいたにもかかわらず、このブリーフィングルームに長居をしすぎた。里香の言葉でそれに気づくと、黒いゲーム機から早足で出ていく。入れ替わりで店員が中に入っていき、設備の点検などをするようだ――というのを横目に眺めながら、俺たちはゲームセンターの喧騒に戻ってきた。
「次はどうする?」
「いやー、ちょっと疲れちゃったわね……喫茶店に戻らない?」
――その里香の提案に、そういえば里香から話がある……と言われて、呼び出されていたことを思いだす。
「……そうだな。ちょっと疲れ――ってどうした?」
「あ……ううん、何でもない。あのゲームにさ、同い年くらいの女の子が、一人で入って行ったように見えてさ」
ゲームセンターの出口に向かいながら、里香は俺たちが今までプレイしていたゲーム――《Dead and Dead》を指差していた。あのカップル用のゲームに、里香くらいの年の女の子が入っていった、という。あまりそういったジャンルのゲームではない……というか、一人でも出来なくはないらしいが、そもそも二人用なわけだが。
「気のせいじゃないか? 先に一人入ってたとか」
「うーん……」
それでも里香は納得いかない様子ではあったが、特にその彼女と知り合いだった、という訳でもなく。少し気にしているようだったが、結局はゲームセンターから出て行った。
ゲームセンターのすぐ前にある階段を下りていくと、待ち合わせ場所でもあった喫茶店はすぐに到着する。そこで俺は、彼女から何を話されるのか……そう考えながら、ゲームで手に入れた紙をもう一度見返した。
『周りやパートナーをよく見ているが、自分のことを見ていない』――要約するとこんなことを。お前に何が分かるんだ、余計なお世話だ、などなど言いたくはなるが……まあ、そこそこ的を射ていた、のだろうか……
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