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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百十六幕 「空のバックスクリーンに届くまで」
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。
「くっ……!!仕方ない、ミサイルを迎撃してとっととズラかるわよ!」
『ラジャ!!』
月鳥によって視界を乱されていたその隙に、ミサイルが雷陰を囲うような軌道を描いている。
さながら取りを捕まえる鳥籠のような無駄のない撃ち方。
だが、どんな動きをしようが彼女にとって必殺の状況で放たれないマイクロミサイルなど児戯に等しい。――だが、この瞬間だけは、彼女は万全の状況ではなかった。
(まずい……ISの感覚補助を丸ごと切ってるせいで、ミサイルの動きへの対応が遅れる――!!)
例えばだが。
千冬はISの補助に頼らずとも地上にいるISを斬り伏せるほどの実力がある。
だが、それは相手が地上にいて、尚且つ攻撃してこない事が前提となる。
何故ならば相手が機関銃や爆発物を用いた時、生身の人間でしかない千冬にはISのような三次元的回避ができないからだ。ISに長く乗っていたために反射神経の類は限りなくISに近くなっているが、流石に死角からミサイルが飛来しても平気で回避できるわけではない。気配くらいは察知できるが、ISの感覚補助とアラートなしに四方八方から飛来するミサイルを感知してすべてに対応するなど不可能である。
それと同じように、いくらくノ一が異常なまでの身体能力を持っていようと、360度から襲いくるマイクロミサイルにISの感覚補助なしで対応するのは困難を極める。しかも――
「3番、34,5。7番、back。16番、320,8。19番、boost。8番re,rock……………」
ぶつぶつと意味の掴めない単語を漏らしながら高速でホロモニタをタップする簪の眼は、食い入るようにミサイルへと向けられている。機体に搭載されたマンマシーンインタフェイス『HTLS』が唸りを上げてフル稼働し、ボードのタップに合わせてミサイルたちが微細な軌道変化を起こしていく。
彼女は、あそこから数十発にも及ぶミサイルを全て同時に操作して更に撃墜を困難にしている。
ただ操作しているという段階ではなく、既にその微細かつ綿密なコントロールはBT兵器にも匹敵していた。
瞳から発せられるのは、狙った獲物を逃すまいとする獣の執念。
更識の名を背負う一人として、決して逃してなるものか――そんな彼女の意思が移ったように蛇のようにうねるミサイルたちが雷陰に殺到した。
「だっ……たらぁ!!」
瞬間、雷陰が瞬時加速と共に真上のミサイル数発を瞬時に斬り裂き、包囲網から抜ける。
いくらミサイルに軌道が複雑だろうと、目に見える的を外すほど間抜けではない。
爆炎を突き破って瞬時加速で離脱に入るくノ一は、内心の冷や汗を隠してにやっと笑う。
「いくらミサイルの動きがいいからって、弾幕の厚みまでは用意できないわよね?なら、一
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