第2話「少年は悲しみを乗り越え愛しき人に刃を向ける」
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動も兼ねて男たちの関節を外して解体してやった。それでもかかってくる奴はうっとうしいから関節潰してやったけどな。
だが一度解体し始めたらオレは止まらない。そこら辺にあった自動車や廃墟の工場を思う存分どんどん解体した。そして気づけば、さっきあったはずの車も工場も全部バラしていた。バラした時の気分は 最高で最高の快楽だ!幸せの絶頂と言っても過言じゃない!!
……だが、それでもオレは不満だった。不満で何が不満なのかわからなくて、さらに不満になってオレは呟いた。
『最高の快感だ。なのにオレの心はなぜ満たされない』
『だろうな。テメェはそんなちっぽけなモンぶっ壊しても物足りねェのさ』
振り向いた先にいたのは一人の男だった。闇に埋もれてどんな奴かよくわからなかったが、男の言葉はなぜかオレの心を引きとめた。そして男はこう言ったのさ。
『どうだ。そんなちっぽけなモンよりもっとデカいモノを壊してみねぇか?そう『世界』をな』
その時だ!夜のお日様を隠していた雲が消えて、降り注いだ光がオレの前に立っていた男をオレの瞳にはっきりと映し出した。
その男こそが高杉だ。その言葉でオレの心はすべて高杉のアニキに持っていかれた。そして思い知った。今まで俺がどれだけちっぽけなモノしか壊していなかったのか。
そして決めた。『世界』っつう大きなモノを壊すってな。
* * *
「……それで貴様は鬼兵隊の者か」
「オレは何物にも縛られないし、縛りたくもない。来る者拒まず、去る者は追わず」
そう言いながら金髪の少年は手にする巨大なモンキーレンチを、まるでバトンのようにクルクルと腕の中で弄ぶ。
曖昧な言動ばかりだが、この金髪の少年が言ってることの本筋はおそらく事実だろう。
絶えない薄ら笑いと破壊の衝動をものともせずに受け入れている様は、言うまでもなく普通じゃない。
しかし、それよりも異常に感じさせるのは少年の『眼』だ。
寝ぼけたような半開きの瞳は見る者を陰鬱な気分にさせるほど淀んでいて、そこには何かが潜んでいる。
「おうっと自己紹介を忘れていた。すまない」
ずっと自分を凝視する双葉に紳士的に一礼して、
「オレの名前はグラハム。グラハム・スペクターだ」
金髪の少年は――グラハムはモンキーレンチで己を指しながら名乗り上げた。
「名前など聞いていない」
無関心のように答えるが、本音は違った。
意味不明に喚いているだけの不良なら無視しても何ら問題はない。
だがこの少年は高杉と通じている。しかも高杉に頼まれてここへ来たと言っていた。つまりここにはこの少年以外に鬼兵隊と関わる何かがあると考えていいだろう。
だとしたら、やはり放っておくわけにいかない。
そんな双葉の思惑をよそに、目元を押さえるグラハムはローテンションにな
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