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転生者は英雄の力とリリカルな世界へ
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「目は覚めたかい?」


 まさか。
今だって何も見えないよ。


「大丈夫そうだね。一度だけしか言わないからしっかりと聞いてね?」


 頭に響く声は一方的に喋り出す。


「君は死んだ。
そんな君は神様こと、僕の手によってある世界に転生してもらう。
勿論、異論は認めない。
突然で理不尽極まりないと思うかもしれないが、人生なんてそんなものだろう?
ま、君は既に死んでいるから人生ではないのかもしれないけど」


 転生?
それよりも、既に自分は死んでいる、だって?
なら、今此処でアナタの声を聞いている自分は何だ。


「魂だけの存在ってところさ。
その辺りは難しく考えなくて良いよ。
次に目が覚める頃には転生し終えてるだろうから。

さて、そんな君には力を与えて転生させる。
異世界転生にはお決まりのパターンさ。
君が向かう先は何かと物騒な世界だ。
力は在って然るべきだと思うから。
向こうに着いたら自然と頭に入ってるからその辺も気にしないでくれよ」


 物騒な世界と聞いて背筋がぞっとする。


「そこは折り合いをつけてもらわなきゃ困るな。
君は既に選ぶ側ではなく、強制的に飛ばされるのだから。
精神面や肉体面も強化しておくから大抵のことは大丈夫だと思うけどね」


 なんだそれは。
勝手に呼んでおいて、勝手に存在を改変されて、勝手に飛ばされる。
そんな理不尽あっていいのかよ。


「だから、無茶無謀傍若無人の理不尽極まりない存在が神様なんだってば。
そんな存在が気紛れに行っていることだよ、考えるだけ無駄ってもんだね」


 アナタのことでしょうに。
そんな他人事のように言われても。


「結局はそういうこと。
わからないことは多いかもしれないけど、多分行けばわかるよ。
君の記憶は其処で戻るようにしておくから」


 …わからないけど、わかった。


「そうそう。人間、諦めが肝心ってね。
では、行ってらっしゃい。
精々、次の生涯は良い人生を送りなよ」


 そこまで聞いた後、スッと意識が遠退く。
そして―――。





▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼




「…こんな雨の中に酷いことをするものだ」


 目が覚めると、傘の下にいた。
降りしきる雨の中、一本の傘を俺のために掲げている大きな身体が目に入る。


「十中八九、捨て子だろうな。
我が子が先日産まれたというのに、人間の世はどうしてこうも差が出来てしまうのか。
情け無いものだ」


 呟きながら俺を抱えてくれる男。
俺は、ぼーっと彼を視界に入れながら情報を処理仕切れずにいた。
自分のこともわかるのだが、他の情報
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