トワノクウ
最終夜 永遠の空(五)
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ヤです」
鳥は巣を出て空へ羽ばたく。
種は土のゆりかごを捨てて芽吹く。
子供はいつか小さな靴を履かなくなる。
「今、あまつきは自立しようとしています」
自立を妨げる最大の敵は、親の干渉。親心は子を必ずしも善い方向に導かない。
あまつきの世界は彼らのもので、彼らの課題も彼らのもの。
「今度こそほんとに神様にサヨナラして、自分達だけで歩いて行こうとしています。帝天はもう雨夜之月にはいらなくなったんです」
「だったら、やっぱり俺が消えるのが筋じゃないか」
「いいえ。いらなくなったのは『神様』という、あまつきが描く、あまつきの支配者の偶像です。鴇先生を否定するんじゃない。解放するんです」
鴇時の握り拳を両手で包み込んだ。
ただの男子高生の手。この手が今日まで多くのものを掬い上げ、零してきた。
この両手から零れたものを、今日、篠ノ女空が返そう。
「明おばさんが言ってました。このがしゃどくろ、雨夜之月の人と妖の『帝天はいらない』って気持ちの結晶なんですよね。こんなにでっかいみんなの想い、利用しない手はありません」
鴇時は疑問符を浮かべる。
くうはにこり、笑った。
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