29部分:第二十九章
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わかったわ、これは重要な証言になるわね」
「重要な、ですか」
「ええ、これで話が繋がってきたわ」
煙草の煙を眺めながら言った。青い煙が部屋の中でゆらゆらとたゆり、そして消えていく。沙耶香はそれを眺めながら言ったのであった。
「終わるわ、この話」
「はあ」
これは看護婦にはよくわからない話であった。沙耶香と速水だけがわかる話であった。
「あっ、何でもないわ」
「左様ですか」
「けれどこれで何はともあれ」
煙草を消した。ふうっと息を吹きかけるとそれで砂の様に消え失せてしまったのだ。
「話が全部繋がったわ。それじゃあ」
「帰られるのですか?」
「そうよ」
立ち上がって答えた。
「また来ていいかしら」
「また」
「ええ、貴女さえよければ。今度はプライベートでね」
目の中だけで笑いながら看護婦に対して言った。誘いをかけている目であった。
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