開戦
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ータルや絶対存在と戦ってる時、彼女自身が暴走する危険性は無くなったってことでしょ?」
「それはそうなんだけど……少し気がかりだわ」
「え、何が?」
「暗黒物質は本来、人を滅ぼす力よ。それは月光仔の血で耐性を持ってるサバタですら精神を蝕まれ、寿命を大幅に縮めるものだった。そんな代物を月光仔でもないなのはさんが精神の浸食を気にせず操れるようになったという事は……!」
「あ……そうか! 精神的に影響が無いと身体にかかる分のリスクに気づけなくて、いつしかとんでもない負担を抱えてしまっているってことか! これはますます自己管理を厳しくしてもらわないとヤバいな……」
「ええ。気付かず使い続けていれば撃墜……下手をすれば死亡なんて洒落にならない事態を招くわ。後でリンディ達に、彼女の健康状態をしっかり見ておくように伝えておかないと……」
後ろでリーゼ姉妹が何か話し合っているようだったが、今の私はタンカーにいる友達の所に駆け付ける事で頭がいっぱいだった。雨が私の身体を濡らす空を突き抜け、幸か不幸か、目印となっている炎と黒煙を上げて、海上で漂流しているタンカーを発見する。
「タンカー発見! ここから一見すると、ブリッジとエンジンが爆破されたようね。この状態では、けん引の船を数隻持ってこないと動かせそうにないわ」
「今の所船底に穴は開いてないみたいだけど、救助は出来るだけ早めに済ましておいた方が良いかな。生命反応は船倉の方にあるし、中に入って彼らと合流しよう」
状況分析を終えたリーゼ姉妹と共に私はタンカーに降り立ち、着地点の目の前にあったバルブ式水密ドアをリーゼロッテさんが開けようとする。
「うわっ、これ固ッ!? 中で錆びついてるんじゃないの? 船乗りはこんなのを日常的に動かしてるのかぁ」
「しっかりしなさい、ロッテ。あなたなら扉が錆びついてたぐらいで音を上げたりはしないはずよ」
リーゼアリアさんの発破を受けたリーゼロッテさんは、ありったけの力を全身から引き出し、物凄くゆっくりした速度だが、バルブが鉄をこすり合わせるような嫌な音を立てながら回っていった。私にはそういう力仕事が出来ないから、ちょっと羨ましい。トランス・ダークを使っている最中は別だけど、アレは絶体絶命時の切り札だから……。
「ふんぎぃぃぃぃ!! ちくしょ〜手が痛いぃ〜!!」
「このペースじゃあ、まだまだ時間がかかるわね……」
「……もう待てません! こうなったら!」
レイジングハートの先端を扉のやや下方向に向けて構え、砲撃体勢を整える。魔力チャージの光球を見たリーゼロッテさんが真っ青になって慌て出す。
「ちょっ!? 待て待て待て!? 私を巻き込むつもりぃ〜!?」
「行きますよ! ディバインバスター(やや弱め)!
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