開戦
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もらいたいものだよ」
リンディさん、クロノ君、エイミィさんがそれぞれ本局とラジエルの違いについてぼやいている。そんな中、私は以前エレンさんが『本局にいる方が居心地が悪い』って嘆いていた事があるのを思い出した。そりゃあ一緒にいる時間が長くて信頼できるラジエルの仲間と、いつ自分の命を狙ってくるかもしれない本局の人達とでは、ラジエルの方が居心地が良いと思うのは当然だよ。
実際、本局の食堂を利用したら毒殺されかけた経験が何度もあるって言ってたし……。その話を聞いた時はほんと、鳥肌が立つぐらいゾッとしたよ……。
「……少し、ユーノ君の様子を見てきます。医務室に一人でいたら寂しいと思うので」
「そうだね。彼が目を覚ました時になのはちゃんの姿を見たら、きっと凄く安心すると思うよ」
「ああ、行ってやるといい。それに僕が行くより、すぐ事情も把握できそうだしな」
「あらクロノ、随分気が回るようになったじゃない? 一体どういう風の吹き回しかしら?」
「からかわないでくれ、母さん。僕はただ効率性を求めただけで……」
「まぁたまた〜? とぼけちゃってもう、クロノってば照れ屋なんだから」
「別に……少しぐらいは空気を読める様になろうと、意識しているだけだ。……ちょっとだけ」
リンディさんとエイミィさんにからかわれて照れているクロノ君の姿は、ちょっと面白可愛いと思えた。あの3人の仲の良さは十分伝わってきたので、とりあえず私はさっき言った通りにユーノ君のいる病室へと向かう。
アースラは一応戦艦なので病室のレイアウトは必要最小限に収まっており、簡素なベッドにユーノ君は点滴を打たれて寝ていた。一度ラジエルで治療を受けた後に無理を推してこっちにやってきた彼は、身体の包帯が至る所に巻かれていて痛々しい姿を晒している。静かに目を閉じて呼吸している彼の手をそっと握った私は、ささやくように尋ねる。
「ユーノ君…………こんな姿になってまで、君は何を伝えたかったの……?」
そう訊いた所で、今のユーノ君に返事を返す事はできない。治癒魔法が使えない私には、せめて少しでも安心させる事ぐらいしか出来ないから。
「そう……了解した。アリア、ヤガミがしくじった、すぐ救出に向かうよ」
「聖王教会の連中、事を焦り過ぎたわね。私達も暇じゃないのに、尻拭いするこっちの事も考えてもらいたいわ……」
廊下から聞き覚えのある声がしたと思ったら、リーゼ姉妹が急ぎ足でどこかへ向かおうとしているのが見えた。彼女達の話からはやてちゃんに何かあったらしく、どうしても聞かなきゃと思った私は、咄嗟に彼女達に声をかける。
「リーゼロッテさん! リーゼアリアさん!」
「しかし初任務をあの子一人でやらせるなんて、よっぽど切羽詰まってたのかな?」
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