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リリなのinボクらの太陽サーガ
開戦
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さい。……大丈夫です。アヴァランチとも呼ばれた私達は、絶対存在やイモータルが相手でも決して負けやしませんよ」

堂々と言ったエレンの姿は、過去の過ちで引け目を抱いている私には少し羨ましかった。過去に対する罪悪感で私と彼女は似ているが、私はまだ引きずっているのに対し、彼女はそれを乗り越えて未来の糧としている。流石、兄様の仲間なだけあるな……。

これ以上駄々をこねると流石のエレンでも本気で怒りそうだったので、大人しく医療室に戻った。そんな私に、彼女はモニターで外の様子を見れるようにしてくれた。そういう訳なので私は戦えないが、彼女達の戦いの様子を中継する事ぐらいは出来る。

外は寂れた荒野の真っ只中で、何も無いからこそファーヴニルとの戦いで余計な被害が出る可能性を極力なくせる場所だった。渇いた風が吹き付ける中、遥か彼方の空で空間の歪みが発生していく。私達が魔法で行ってきた次元転移とは異なり、あれは力づくで世界の壁をこじ開けている影響……世界に異物が入り込む兆し。緊張の面持ちで息を呑んだ直後、ガラスが割れるような激しい音と同時に、歪みに亀裂が生じる。

Hyuuuuuuuuuuuuuu…………!!!

次元の亀裂の向こうから聞こえた、静かな雄叫び。それを発した元となる存在……静寂の獣ファーヴニルが、亀裂を乗り越え、とうとうその巨体を私達の前に晒した。そしてもう一つ、忘れてはならない存在……この事態を起こした全ての元凶たるイモータル。兄様の運命を歪め、次元世界を混乱に陥れたラタトスクが、ファーヴニルと共に現れたのだ。

『チッ、まさかこんな妨害があるとは思いませんでしたよ。しかし……たかが人間ごとき、いくら大勢集まった所でファーヴニルに勝つ事は出来な――――ぐばぁっ!?』

「……え?」

モニターが写した映像を見て、思わず気の抜けた声が出てしまった。だけど色んな意味でそれもしょうがない気がする。
外の様子を教える前に言っておく。私は今、エレンの凄さをほんのちょっぴりだが目撃した。い、いや……目撃したというよりは、咄嗟過ぎて理解が追い付かなかったのだが……。あ、ありのまま今起こった事を話すよ。ラタトスクが人間を見下ろす発言をしていたら、次の瞬間衝撃でぶっ飛ばされていた。何を言っているのかわからないと思うが、私も最初は何が起きたのかわからなかった……。頭がどうにかなりそうだった……魔法だとかレアスキルだとか、そんなチャチなものでは断じてない。もっと恐ろしいものの片鱗を、目にしてしまったよ……!

『うふふ……ミ・ツ・ケ・タ♪』

極限まで溜め込んだゼロ気圧衝撃砲を放ったエレンが、獲物を見つけた猛獣のような笑みを浮かべている。モニター越しだけど、その笑顔は鳥肌が立つぐらい怖いよ……。というか今更だけど気づいた。ラタトスクに対して
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