開戦
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0分後に会敵します」
「総員、今の内に最終チェックを行っておけ。いざという時に使えない、では話にならないからな」
サルタナの忠告に苦笑しながらも、ラジエルクルーは真面目に自分達の担当箇所の機材や、武器の点検を行う。そんな中、私は徐に手を掲げ、体内の魔力を練り出して魔力弾を作ろうとしたが、影も形も作れなかった。渇いた雑巾を絞っても水が一滴も出ないように、魔力光の一片すら今の私には生み出す事が出来なかった。
「やはり駄目か……まるで虚数空間のようだ」
「ファーヴニルが吸い尽くしてしまいましたからね。この辺りの魔力が以前の水準に戻るまで、何の妨害も無く自然回復したとしても100年はかかるでしょう」
「100年か……闇の書として眠っていた頃はあっという間だったのに、今では途方もない時間に感じられる」
「いいじゃないですか。それだけ今の時間が濃厚になっているんですよ、ちゃんと生きている証ですわ」
「ふっ……そうか、生きている証か。ならこんな所で終わるわけにはいかないな」
「……と申しましても、リインフォース・ネロさん」
「ネロでいい……兄様の旧友なら、むしろそっちの名で呼んでもらいたい」
「ではネロさん。この一帯で魔力が消失している現在、魔導師は魔法が使えません。エナジーが使えれば話は別だったのですが、無いものは仕方ありませんわ」
「……ああ、悔しいがその通りだ。しかしまたしても魔法が使えなくなるとは……天は私に魔法を捨てろと暗に言っているのだろうか? ところでエレン、私でも何か出来る事があるかな?」
「あ〜……すみませんが、ラジエルではあなたに任せられる役割はありません。十分間に合っていますわ」
「むぅ……。では、別の場所で何かやれる事はないかな? 荷物持ちでも構わない、とにかく役に立ちたいんだ」
「気持ちはありがたいのですが……そもそも今のあなたは怪我人ですよ? 本来ならまだ医療室のベッドの上で横になっていなければならないのに、ブリッジで様子を見せているだけ融通を利かせているんですから、これ以上悩みの種を増やさないでもらいたいです」
「そ、それはすまない……だが! ニダヴェリールの全てを知っているからこそ、このまま何も出来ないのは嫌なんだ! だから戦わせてくれ、お願いだ!」
「はぁ…………いいですか? 私はサバタと閣下のためなら何でもする所存です。例えあなた方が何を言おうと、それは揺るぎません。あなたが死んだらサバタが悲しみます……彼の覚悟が無になってしまいます。それを避けるため、私はあなたを生かそうとして申している事を、もう少し理解して下さい」
「う……し、しかし!」
「“でも”も“しかし”もありません。怪我人は無理せず、大人しく私達の戦いを見届けていて下
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