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黒魔術師松本沙耶香  薔薇篇
27部分:第二十七章
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心していいのね」
「是非共」
 速水は右目と口でにこやかに笑ってそう返した。
「そして八枚目ですが」
 そのうえで話を戻してくる。
「それは言わなくてもわかるわ」
「魔性ですか」
「そう、相手はね。ただここで気になるのは」
「まだわかっていない残り三枚のカードの結果」
「五番目と九番目、そして最後の十番目で」
「ええ。ただまず十番目は置きますか」
「そうね。それは最後の結果だから」
「それでは」
「五番目と九番目ね」
「実は私にもわかりかねているのです」
 速水は今さっきの言葉を早速自分で否定してしまうような言葉を口に出した。
「恋人の逆」
「それね」
「実っていないのなら私達も同じですが」
「これが占われたのは事件が起こる前だから」
「必然的にこれは犯人の側に向けられたものになります」
「今まで実っていなかった」
「犯人には長い間望んでいた欲求があるようですね」
「だとすると一体」
 だがそこまでは到底わからない。二人はそもそも犯人の尻尾すら掴んではいないのだから。それでわかるという方が無理な話なのである。


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