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ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第129話 橋の上の戦争
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かに陣形が乱れている。……怯えている様にも見受けられる。その表情にはやや違和感を覚えたが、一先ず気にしない事にした。ドラゴは、集中力を欠いて倒せる相手ではないと悟ったからだ。

「……今、だな!」

 サラマンダーの最後の1人を巨大な手で鷲掴みにした瞬間を狙い……一気に距離を縮めた。

 近づいたら、大体の風貌を完全に把握する事が出来る。相手は、ただの巨人ではない。

 その頭には、二本の角。山羊の様に長い角が伸びており、高東部からも湾曲した太い角が伸びている。丸い目は真紅の輝きを放っており、牙の覗く口からは炎の息が漏れている。そして、漆黒の肌に包まれたよう阪神にはゴツゴツと筋肉が盛り上がっており、長い腕は、リーチが遥かに長い事を意味している、その懐も、見た目よりも深そうだ。

《悪魔》と呼ぶに相応しい相手。云わば《漆黒の悪魔》と言った所、だろうか。

 丸腰だが、攻撃手段は全身にあると考えられる。
 牙、両手両足、ブレス……。推察出来るのは無数にある。これは見ただけの推測であり、推察。手持ちには情報が圧倒的に足りない。

 だが、ドラゴはそれを是とした。情報不足上等だと。少ない手持ちで、強大な敵に挑むのも悪くない、とドラゴはニヤリと笑みを見せていた。

「グルルッ!?」

 ドラゴが、後ほんの数mまで距離を詰めた所で、その漆黒の悪魔はドラゴに気づいたのか。

「ひゃあっ!?」

 その手に握っていたプレイヤーを投げ飛ばすと、こちらに向かってきた。

「っ!!(この巨体から考えられない敏捷性ッ!?)」

 振るうのは、その巨大な腕。ドラゴ目掛けて振り下ろしてきた。
 だが、ドラゴは、走る速度を落とさず、そのまま素早く回避した。

「グルッ!?」

 回避された事に驚いたのか、一瞬動きが止まる悪魔。ドラゴは、そのまま相手の股下をくぐり抜けると。

「気が散漫だ!」

 叫びながら、その背中に一撃を与えた。それは、剣撃で言う逆風による切り上げ。相手は巨大故、一撃でまっぷたつとは行かなかったが、ダメージは与えられた様だ。

「っ!?」

 だが、ダメージを与え、更にノックバックも発生させたと言うのに、攻撃を喰らいながらも体術のスキルを彷彿させる裏拳を放ってきた。

 ぎゅおっ!! と言う音を立てる。まるで空気を裂く様な速度の拳速。回避は無理と悟ったドラゴは、剣で受け止める事にした。勿論、ダメージを受ける事を覚悟で。

“がきぃぃぃんっ!!!”

 ドラゴの剣と悪魔の拳。それらが衝突し合って、まるで落雷が轟き落ちた様なエフェクトと共に、金属音が木霊した。拳と剣の衝突音じゃない。そう一瞬頭に過ぎったが、今は考えてはいられない様だ。

「……初動が殆ど無いな。次の手が読みづら
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