第1章 光をもとめて
第7話 絶対王者 陥落
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高めてきたのだろう。それが判るほどの代物。
自らの限界を更に破り、≪幻夢剣≫を明らかに超えている業。
「歪空幻夢剣!!」
それは一閃。流れるような動きをしていた剣が、ユランの咆哮と共に、恐るべき速さ、変幻自在の軌道でランスの身体に迫っていた。さすがのランスもこれまでに見たことの無い程の速度だった故、反応すら出来ていなかった。
もう、コンマ数秒。刹那の時で、その刃はランスに一撃を入れ、勝敗を決するだろうと、観客の誰もが確信をしていた。
だが、その瞬きさえ赦さない刹那の時……その逆を考えていた者がいた
(ランス選手のあの目は……)
一人目はランスの目を見た実況の男。そして、もう一人。
「……あれは。成る程な 流石、ランスって事か……残念だったな。ただ、相手が悪かったようだ」
ランスの奇策を見抜いたのはユーリだ。この勝負はもう先が見えている勝負だった。地力でも敵わない。なら、最も信頼できる必殺技に縋るしかない。だが……、それすら封じられてしまっているんだから。
この間、0.2秒を切る。
「なな、なんだっ!!」
ユランは、絶句し体勢を崩した。
ユランの剣はランスを間違いなく捕らえていたが、到達する寸前に逸れてしまったのだ。何故、剣が逸れた?滑ったかのように逸れたのか困惑していたユランだったが、そのまま、前のめりに倒れランスの鎧に思いっきり近づいてしまったとき、全ての理由に気がついた。
「そ、そんなっ!?」
「がははは!! 幻夢剣破れたり!!」
厳密には違う技名だが、性質はまるで変わらないものだった為か、効果は絶大だった。実はランスはさらに鎧に改良を加えていた。
それは、ランスが事前に 幻夢剣を簡単に破る方法を模索していた時の事。
色々と確認した所、魔法でも使わなければ難しいだろう、と言う結論に至った。それでも、諦めきれなかったランスは、シィルに考えさせたのだ。
無理難題を吹っかけられたシィルだが、ランスのために と必死に考えて 『止めるのが無理なら、ヌルヌルで滑らせてみればどうか?』と提案をしたのだ。
そこで、ランスが目をつけたのが 《スベリヒユ》。
リーザス場内部に生えている植物であり、からしじょうゆと一緒に食べれば美味しいと評判。そして、何よりもヌルヌルと滑るのだ。
それをちょいとリーザス城から拝借し、自身の鎧に塗り、更にはユランとの鍔迫り合いの最中、その刀身にもたっぷりと塗り付けた。
ユランの攻撃は鋭い。それが災いしたのか、その剣はランスの身体を捉える事が出来ず 鎧と自分の剣に塗られたスベリヒユが滑らせてしまい、攻撃が当たらない。
「ま、まさか……、これを誘っていたのか!?」
「気づくのがちょっと遅かったな!
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