第1章 光をもとめて
第7話 絶対王者 陥落
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(……強い。あの男とやる為に温存、とか考えてた自分が情けないな)
ユランは剣の柄をぎゅっと握り締めた。
「がははは!!! 今度こそ、くらえぃ!」
ジリ貧だという事はランスもわかっており、相手の弱みを見抜く目は誰よりも長けている。相手に嫌がる事をさせたら右に出るものはいない……と言う程だ。……が、それはユランの誘いだった。このまま、無駄に体力を浪費し、打てなくなる前に。あの尋常じゃない速度の持ち主と戦う為に取っておいた技を解放する。
「む……!!」
「おおっと〜〜! ユラン選手、あの剣の軌道は〜〜!!(軌道……キドウ。なんちゃって♪)」
さすがに、この緊張感の中で口には出さなかったが、頭の中ではちゃっかりと言ってしまってるのがいつもマイペース、キドウ・ナギサと言う女だ。……それも、いつも見ている技だからだろう。
だが、いつもと、少しばかり違っていた。
「違う……あれは!」
「ええっ!! あ、あれ!?」
目を見開く男と、思わず自分の口調を忘れてしまっているナギサ。
ユランの背後に光球が現れ、それがただでさえ尋常じゃない彼女の素早さを更に向上させていた。
(アンタは強い……。今日一日で2人も私が思うなんてね。……だからこそのとっておきだ。自分の限界を出させてくれる相手にとっておいた新技!)
ユランは、自然体の構え。ただ、剣筋、太刀筋は身体に聞けと一心。どの様に動くかをも本能に任せていた。
「んげっ! なんじゃ、この速度は!」
ランスも目を見張るほどの速度。ついさっきまででも十分早かったのに体感で先ほどまでの倍近い速度ではないか?と思ってしまうほどだった。
そして、そのユランの技の圧倒的な力、雰囲気は 観客席にまで届いていた。
『あっちゃあ……ヤバイじゃない!大損?? アイツ、ただでさえ凶悪な技をさらに一段階上げてる!?』
『ら、ランスさんっ!』
『マジか!?あんなの今まで見たことねえぞ!?』
観客席のロゼは思わず舌打ちをしてしまい、冷や汗を掻いていた。ランスに賭けている金だって相当な金額……失えば破産もありえたからだ。パルプテンクスもオヤジも思わず身を乗り出していた。
『……その剣、正に夢幻の如し。それもとっても歪な夢を見るでしょうね。あんなの喰らったら……』
戦いを魅入ってしまったのは観客たちだけでなく、偵察に着ていた女忍者も同じだった。
これまでに何度も見ている筈なのに、それは一味も二味も違う事がこの距離からでも理解できる。いつだったか、言の葉を操れるモンスター、その技に倒された凶悪なモンスターが称したものであり、いつしか定着した軌道。それが≪幻夢剣≫と呼ばれるものだった。
だが、彼女は王者になっても奢らず、自らを
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