第1章 光をもとめて
第7話 絶対王者 陥落
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これまでとはまるでレベルが違い、観客は思わず息を飲み、初めは歓声を上げる事すら忘れている程だった。
「へぇ……、本当に想像以上だよ。この私の剣をここまで防いだ男は初めてだ!」
「ふんっ! そんじょそこらの三流男と一緒にするんじゃない! ええぃ! いつまでも、ひらひら避けるんじゃない!」
「ふふ、優雅さに欠けるだろう? 柔よく剛を制すってね」
互いの剣は交差しあう。
一体何合目の打ち合いだろうか……、わからないほどの数、そして火花を散らせていた。初めこそは息を飲み、ただ魅入っていた観客だったが、今は違っていた。傍目には、攻撃を完全に見切り、且つ攻撃も加えている、攻撃回数も多いユラン。我らがチャンプが圧倒していると、心を躍らせ騒いでいた。
「いや〜〜。ユラン選手の怒涛のラッシュですね〜。ランス選手も何とか捌いて持ちこたえてはいますが〜……。この状況、どう思います〜?」
実況のナギサが隣の男に問いかける。
この準決勝から解説として招かれた金髪の男。目元にはマスクを装着しており、素顔の全ては見られないが その仕草、そして言葉遣いから美男子を連想させていた。この男こそが、優勝した選手とエキシビションを行う予定のリーザスの将軍だった。
ナギサの問いかけに男はマイクを手に取り答える。
「そうですね。……これは一見、ユラン選手が手数で圧倒しているように見えます、ですが、だからと言って、ユラン選手が優勢か? と言われれば違うでしょう」
「え〜? そうですか〜? ですが、終始主導権を握っているのはユラン選手のように見えますよ〜? 先ほども言いました通り、物凄い数の攻撃なんですから〜。ランス選手の攻撃は当たってませんし〜」
ナギサの話も最もなのだ。これまでの戦い。恐らく対戦相手との実力差がありすぎた事から、あまり深く見る事が出来なかったが、ユランの強さは、幻夢剣もそうだが、何よりもその身体捌きにもあるのだ。
攻撃を全て見切り、躱し そして最後には、必殺の剣で仕留める。まさに『蝶の様に舞い蜂の様に刺す』 それを体現している戦闘法だから。
「……ええ、確かに それに関しましては、僕も同意見です。……が、ユラン選手の攻撃も全て、ランス選手に防がれています。……速度で勝るユラン選手が捉え切れていないと言う事は恐ろしく勘の良い選手なんでしょう。ランス選手は。動きを見ても、型にはまらない、自由奔放とも言える身体捌き。何処から強力な攻撃がくるか判りません」
そして、その解説役である将軍のそれも、まさにその通りだった。
ランスはユランの攻撃を一撃も身に受けておらず、全て防いでいた。彼は圧倒的なパワータイプではあるが、野生の勘……と言うべきものも持ち合わせており、更に身のこなしも柔らかく素早い。そして、ここ一番では必
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