23部分:第二十三章
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られたけれど」
「区別には参ったと」
「もっともそんなことをした相手は例外なく不幸になったのけれどね」
そう言って不気味な笑みを浮かべた。まるで悪魔が魔界で笑うかの様に。
「私は差別と差別主義者は嫌いよ」
「それはこちらも承知しておりますよ」
「女の子は誰であってもね」
「そうきますか」
「私は博愛主義者だから」
かなり自分自身に対して甘い言葉であった。
「差別は嫌いなのよ」
「女の子だけではなく」
「そう、男の子もね」
「それは変わらないのですね」
「そうよ。ところで」
沙耶香は話題を変えてきた。ここでメイド達を休ませ二人きりになる。もうデザートまで食べ終えていた。ワインを側に置きゆっくりと話をはじめた。
「今度は黒薔薇の番ね」
「ですね」
事件の話であった。二人の目が険しくなった。
「それで庭を調べてわかったことですが」
「何かしら」
「薔薇の位置ですけれどね、予想通りでしたよ」
「予想通り」
「はい。五行思想の通りです」
速水は述べた。
「中央に黄色い薔薇、東に青い薔薇」
「そして南には赤薔薇、西には白薔薇」
「最後に北には黒薔薇です。しかもそれを左右対称に配しています」
「左右の庭にそれぞれね」
「はい。何処か魔法陣めいていますね」
「そうね、しかも二つだと」
「もう一つの思想も加わってきます」
「陰陽ね」
「ですね。おそらくそれでしょう」
「そして使われた薔薇はどちらの薔薇だったのかしら」
「館から見て左手」
「じゃあ門から見ると東になるわね」
「そうですね、つまり陰になります」
五行にもそれぞれ陰陽がある。青と黒が陰、白と赤が陽なのである。つまり東と北は陰になり西と南は陽になるのだ。そうした細かい分け方も為されているのである。
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