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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
28.希望が殻を破るとき
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イデアは、あたしはなんて間抜けだったんだ、と悔しさに歯噛みして立ち上がった。

「あたしは……そうだ。あたしがあたしを信じなくてどうする!!」

 自分の目を覚ますように、剣の峰に全力で頭を叩きつけた。ゴキッ!!と嫌な音が響き、額に割れるような痛みが走ったイデアは思わずもんどりうって悶え苦しんだ。余りの奇行にブレイブも目をまくるしている。

「痛ぁぁぁッ!?……き、気分任せにこんな事するんじゃなかった……!」

 いつつ……と額を抑えたイデアは、改めて剣を構え直す。
 その可愛らしいおでこには傷が入って一筋の血が垂れていたが、もうイデアにはそんなものはどうでもよかった。
 考えろ、とイデアは思考を巡らせる。
 今まで父と戦って勝った者などそもそも聞いたことがない。
 だが、引き分けに持ち込んだ相手ならイデアも一人だけ知っている。自らの師、剣聖カミイズミである。剣の極みに達し、『二聖』と謳われるカミイズミだけが父を止めた。
 つまり、今のブレイブに対抗するにはカミイズミ級の技が必要になる。

(やるしかない!!)

 無理だ、と言葉に出しかけた己を叩き伏せてイデアは即決した。
 今日、ここで、それをやってみせるのだ。
 
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