28.希望が殻を破るとき
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
聖騎士。
それは誰よりも堅牢で、誰よりも力強く戦線を支える不沈の騎士。
聖なる意志と力の体現者であり、味方の勝利を約束する者。
「ぜやああああああッ!!」
「やぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
ガキィィィィンッ!!と、剣同士が衝突してけたたましい音を響かせた。
この一週間で完成させた両手持ちの技術とカミイズミの刀がもたらす破壊力の二つを掛け合わせたイデア渾身の一太刀が、ブレイブの剣と拮抗した。
だが、腕にかかる凄まじい負荷にイデアは歯を食いしばった。
(押し切られる……!!パワーじゃ敵わない!!)
すぐさま剣を斜めにブレイブの斬撃を受け流す。だがブレイブとて百戦錬磨の剣士だ。その程度の浅慮な動きに対応できない筈もない。すぐさま体勢を立て直して猛烈な連撃をイデアにぶつける。
「どうした!!威勢がいいのは言葉だけか!?」
「む、ぐ、ぐ、ぐううううう〜〜ッ!!」
聖騎士ブレイブの猛攻に、イデアも全身全霊をかけて応対する。
だが、この剣はカミイズミの鋭く斬り裂く瞬撃とは全く異なる。
強大なパワーとそれによって振るわれる大剣の組み合わせが、巨大な斧に勝るとも劣らない強烈な威力を連続で生み出している。唯の一撃でも受け流し損ねれば、その瞬間にイデアは吹き飛ばされるだろう。
一瞬たりとも気の抜けない攻防。こちらの読みを潰して圧倒するように繰り出されるブレイブの大剣は、甘い考えなど許さぬと言わんばかりの迫力でイデアを追い立てていく。
これが父、これが聖騎士。今までに一度たりとも本気で相対したことが無かった父から噴出する凄まじい威圧感も相まって、まるで巨人の連撃のようだった。
「デタラメな力……だけどッ!!」
聖騎士というジョブには、ひとつだけ弱点がある。
それは、大剣と鎧に身を包んでいるが故にどうしても速度に劣るということだ。
剣戟の速度では誰にも劣るまいが、脚を使った機動力だけはイデアにも分がある。
猛攻の中、イデアはその一瞬を勝ち取るための一瞬の隙を待った。
「待ってばかりではチャンスは訪れん!それとも臆したか!?」
「お父様は、知らないだろうけど……ッ!あたし、こう見えても我慢強いのよ……!!」
カミイズミとの戦いを思い出す。カミイズミには一切の隙がなかった。だが、隙はなくとも剣には「呼吸」というものがある。攻め手の厳しくなる呼吸、逆に守りの厳しくなる呼吸……剣には必ず起伏が存在する。例えどのような達人だとしても、その呼吸の継ぎ目が全く存在しない剣士などいない。
ブレイブの攻めと防御の呼吸が切り替わる瞬間を――常にカミイズミ相手に目を鍛えてきたイデアは決して見逃さない。
その瞬間、イデアは振り下ろされたブレイブの剣――呼吸の継ぎ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ