拝啓義母様。日本にカンピオーネが誕生してしまいました。
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「え? 日本に羅刹王が?」
妙なライブの光景を霊視してから数週間経ったある日。私は妹を呼び出し、日本に羅刹王、カンピオーネが誕生したことを知らされた。
「かの御方の名は草薙護堂様」
イタリアで神を滅ぼし、その力を簒奪したその人は私と同じ学院に通っている普通の高校生だということを伝えた。
話していくにつれて次第に顔色が悪くなっていくひかり。
それもそのはず。人間では太刀打ちできない存在が身近に現れたのだから。
「・・・・いと」
妹は震えるこえで呟く。
なにか聞き取れなかったがなにか言ったようで、彼女に問い返うとしたら
「ちょっと出かけてくる!!」
「ひかり!?」
真っ青な顔で居間から飛び出して行った。
慌て呼び掛けるが彼女は振り替える素振りも見せずに暗闇の中に駆け込んでいった。
はやく知らせないと! はやく知らせないと!
はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく・・・!!
夜中の住宅街を裸足で走る。
アスファルトで鋪装された道は未だに熱を持って足裏を焼いてくる。
痛み、熱を感じるよりもわたしは彼等に、カンピオーネがこの東京に近づいていることを知らせる事で頭がいっぱいだった。
カンピオーネは基本的に相容れない存在、それは今までの歴史が証明していた。
なにより彼は三柱もの女神と共に生きる王、相容れるはずがない。そして彼等という存在が露見してしまえば彼等は日本から出て行ってしまうのは明白だった。
そんなのはいやだ。また一緒にピクニックをしたい。セイレーン様との約束もあるし、なにより彼が遠くに行ってしまうのがいやだ。
わたしはルカ君と一緒にいたい!
「・・・あっ!」
唐突に足に痛みが走り、わたしは転んでしまった。
一番近い駅まではまだまだ距離がある。直ぐに起き上がって駆け出そうとするが激しい痛みが足裏に走った。
見てみれば、足裏は血塗れだった。ものすごく痛い。けどいかなくちゃいけない。
痛みに耐える為唇を噛み締めて、一歩、また一歩と、歩みを進める。
そしてやっとの思いで駅まで辿り着いたわたしは
「・・・終、電?」
無情な現実、明かりを失った駅の前にただ立ち尽くしていた。わたしは時間を掛けすぎたのだ。
周りを見渡すがタクシーどころか人一人いない。
思わず心が折れそうになる。
「・・・まだ」
けどここで折れる訳にはいかない。
わたしはルカ君たちと連絡を取れる手段を持っていない。
禍祓いの才のせいで難しい術も使えない。
だったら直接伝えないと
線路
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