20部分:第二十章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ます」
沙耶香に挨拶を述べる。
「ええと。まずは」
「朝食を頼むわ」
「はい、それからボトルとグラスをお下げして」
「お願いするわね。それにしても昨日はかなり飲んだわね」
「そうみたいですね」
くすりと笑った沙耶香にそう返した。
「私はまだお酒は知らないですけど」
「まだなの」
「高校を卒業したばかりなので」
「それはよくないわ。早くお酒の味を知らないと」
「はあ」
「本当の意味で女になれないわよ。酒は女を磨くもの」
そう言いながらテーブルに座る。
「知ると知らないとでは輝きが全然違うのよ」
「そうなんですか」
「ええ、そうよ」
その言葉に応える。
「酒は何もかも奇麗にするの」
テーブルに肘をついて述べる。
「そして心を誘ってくれるわ。貴女が今は知らない世界にね」
「知らない世界ですか」
「だから飲みなさい」
それが結論であった。
「そして別の世界を知るのよ」
「別の世界」
「それが貴女を待ってるのよ」
「わかりました。それではまた機会を見て」
「飲んでみて。きっといいことがあるから」
「ええ。では」
今は手を出さなかった。そうした軽い話だけであった。館の中では相変わらず事件が胎動していても。沙耶香は今は軽い話を楽しんでいたのであった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ