2部分:第二章
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第二章
「あら」
沙耶香はその男を見てまた目を細めさせた。
「貴方も。呼ばれていたのね」
「はい」
男は彼女の言葉に返事をした。
「運命というやつですかね」
「さて、それはどうかしら」
その言葉に対して沙耶香はシニカルなものを含んだ笑みと言葉で返した。
「貴方に会うのは。違うのじゃないかしらね」
「カードはそうだと言ってましたよ」
彼は懐から一枚のカードを取り出してきた。それは運命の輪、タロットカードの中の一枚であった。
「そしてこれと」
またタロットカードを出してきた。今度は恋人のカードであった。
「これが何よりの証拠だと思いますが」
「リバースにはなっていないのね」
「あしからず」
彼は言葉を返した。
「どちらも正しい方向になっています」
「まあ、占いだから」
沙耶香はそれを見ても涼しい態度を崩さなかった。
「何とでも言えるわね。特にタロットは」
「タロットは人の運命を導くものですよ」
男は沙耶香に反論してきた。
「人の運命をね。そのカードの中に」
「では速水さん」
ここでようやく男の名を呼んだ。
裏地が赤の白いコートの下は青いスーツとネクタイ、白面を持ち顔の左半分を自身の黒髪で覆っている。謎めいた美貌を持つ男であった。
彼の名は速水丈太郎、タロット占い師にして退魔師でもある。彼は沙耶香とは何かしらの因縁を持っているようである。
その因縁とは何か。だが二人はここではそれに直接は触れなかった。
「どちらにしろ。相当厄介な話のようね」
「何故そう言えるのですか?」
「私がいて。そして貴方がいるからよ」
沙耶香は答えた。
「それでどうして。厄介じゃないって言えるのかしら」
「おやおや」
速水はその言葉を聞いて肩をすくめておどけてみせてきた。
「私がいて貴方がいるだけでそれとは」
「実際にそうじゃないかしら」
沙耶香はまた言った。
「二人がいて何かなかった試しはないわ」
「これからはわかりませんよ」
速水はそれに返す。
「これからは。私と貴女のラブロマンスがはじまるかも」
「残念だけどそれはないわね」
妖艶に笑ってそれは否定する。
「私に限って」
「女の子だけではないのは知っていますよ」
「ええ、それはね」
それは認めた。
「私は。どちらでもいけるから」
沙耶香は女性だけではないのだ。相手が男であっても構わない。相手に感じるものさえあれば。だが今はもっぱら女性なのだ。それは彼女の嗜好とその時の気分によってである。
「では私は間違いなく」
「それはどうかしら」
その返答はしなかった。
「わからないわね」
「残念なことですね、全く」
「して松本様」
「ええ」
それまで黙っていた男は二人の会話が終わったの
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