語り継ぐもの
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
うだ。
旅人にあまり良い印象は無かったのだが、珍しいタイプだな。
「これから夕飯を作るところですが、なにぶん不器用なもので。味と量には期待しないでくださいね」
黒い本以外の荷物が無いならと。
まずは村人用の応接室へ案内して、テーブルを囲む椅子に座らせた。
「邪魔でなければ、私にもお手伝いさせていただけますか? 寝床に加えて食事まで無償で頂くというのは、さすがに心苦しいですから」
「それは構いませんが、お疲れでしょうに」
「慣れていますので」
脱いだロングコートを背もたれに掛けてから、私に付いてくる白い男性。
その背後で、黒いほうが両腕を伸ばしながらテーブルに突っ伏した。
彼は見た目に反して体力が無いのか?
いや、だらけてるだけ、なんだろうな。
多分。
「……では、材料を出しますので、それで適当な惣菜を一品お願いします。調味料はどれを使っても構いませんし、使い切っても大丈夫ですから」
「分かりました」
名前も知らない男性に目の前で料理をさせるなんて、初めての経験だ。
艶やかで長い黒髪、穏やかに輝く金色の目、色白な肌に柔和な顔立ち。
隣に立てば、ハーブのような清涼感のある香りがした。
白い男性の外見と振る舞いは優男そのものだが、さて。
料理の腕前はどんなものかな?
少し、楽しみだ。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ