マブラヴ
1056話
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突然部屋に入ってきた陰陽師の男。
まだ朝食を食べている途中だというのに、不躾な。
そうも思ったが、陰陽師の顔に浮かんでいるのは焦燥。
見るからに切羽詰まっているその様子は、何か異常があったとしか思えない。
口の中に入っていた湯葉を飲み込み、口を開く。
「どうしたんだ? こんな朝っぱらから」
「はい。長からの連絡です。至急ここから退避して欲しいと」
「……今この状況で、か?」
俺達シャドウミラーがこの関西呪術協会に来てるのは、言うまでもなく近衛の就職説明会と、シャドウミラーが行っている貿易に関しての交渉の為だ。
前者の方は昨日終わっており、親である詠春や関西呪術協会の幹部達からもいい反応を貰っている。
残るのは、関西呪術協会にとっては今回の目玉ともいえる貿易に関しての交渉だったが、それをキャンセルしてまでこの場から退避を求めるとなると、俺の予想以上の出来事が起きていると見るべきか。
しかも関西呪術協会の総力を持ってしても対処出来ないか、苦戦するかもしれないような何かが。
「何か起きた?」
「そんな事より、今はとにかく退避を! このままここにいては危険です!」
俺の言葉に答えるでもなく、とにかく今は撤退しろと言ってくる陰陽師。
年齢で言えば30代前半で、そこそこ腕利きといったところか。そんな人物がここまで取り乱すとなると、余程の事が起きたのだろう。
改めて視線を強くし、口を開く。
「いいから言え。何が起きた? 詠春の急な用事ってのもそれに関わるんだろ?」
この世界での厄介事……関西呪術協会での厄介事ともなれば、最初に思い出されるのはリョウメンスクナノカミだろう。
この近くに封じられていた存在で、フェイトや天ヶ崎といった面々が近衛の魔力を使って封印を解いた存在。
だがリョウメンスクナノカミはエヴァにより滅ぼされており、そのもっとも大事な存在である頭部にしても俺のスライムによって吸収され、既にこの世には存在していない。
そこから連想される可能性としては、フェイトや天ヶ崎が何らかの騒動を引き起こした事だが、それもまた考えにくい。
フェイトは既にシャドウミラーのメンバーとして何年も過ごしているし、そもそもフェイトの目的は魔法界の存続だ。
それを成す為のブルーマーズ計画を火星で進めている以上、こっちに妙な手を出してくる事はないだろう。
なら天ヶ崎か? いや、こちらも考えにくい。今ここで騒動を起こせば、俺達シャドウミラーとの間での交渉は打ち切られる可能性が高い。
そうなれば、俺達とのやり取りは麻帆良のみになり、それが関西呪術協会に与えるダメージは洒落にならないだろう。
なら月詠か? いや、そもそも力を封じられている以上、そんな真似は出来ない筈だ。
そもそ
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