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藤崎京之介怪異譚
case.5 「夕陽に還る記憶」
] 3.11 PM4:43〜epilogue〜
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「それで、彼女の具合はどうだったんだい?美桜と田邊君と行ってきたんだろう?」
 ここは自宅の一室。宣仁叔父をホテルへなんて泊められないと思い、一応は客人として自宅へと招いていたのだ。
 だが…半ば留守番役になってしまっているのが現状だ…。
「はい。彼女は元気でしたよ。あれから何もないようですが、やはり先日の記憶はないようですね。」
「まぁ、そうだろうな。で、お前はどうなんだ?ちゃんと医者に診てもらってきたのか?」
 うん…診てもらってない。先日、俺はかなり傷を負っていた。あちこちに切り傷や青アザがあり、かなり出血もあった。でも、田邊と美桜が手当てしてくれた…と言うか、まるで競争でもするかのような勢いで手当てされたため、かなり雑ではあるが…。
「大したことはありません。縫う程の傷もありませんし、骨に異常もありませんからね。もう殆んど痛みもないですし、心配には及びませんよ。」
「全く…仕方ない奴だ。我が甥は医者嫌いと見えるな。ま、昔からだが…。」
 叔父はそう言って、苦笑いしながら溜め息を吐いた。
「大丈夫なようで何よりだが、躰が完全に回復したら、京之介、お前暫くドイツへ来てくれないか?」
「…はぁ?」
 意味が分からない…。叔父が唐突にあっちに来てくれだなんて、一体何だっていうんだ?無論、遊びにこいなんてことじゃないだろうし…仕事か?でも、日本ですら満足に仕事が来ないってのに、俺が向こうに行ったってなぁ…。
「何を不思議そうな顔をしてる。私はな、暫くお前にチェチーリア大聖堂のオルガニストを勤めてもらいたいんだよ。本当はそれを知らせに来たんだ。」
「えっ!?まさか…俺はバッハ中心の音楽家だよ?カトリックの聖堂でオルガニストなんて…無理なんじゃ…。」
 叔父も知ってる筈なのに…なんでそんな話を持ってくるんだ!?それも手紙でも電話でもメールですらなく、わざわざ出向いてまでこなくても!それに…何か違う意味合いもありそうで、何だが嫌な汗まで出てきたし…。
「いやいや、ただオルガン演奏するだけに呼び寄せるんじゃない。チェチーリア大聖堂の司祭にお前のことを話したら、是非とも呼び寄せてほしいと頼まれたんだ。言ってしまえば、私の助手として幾つかの仕事を受けてほしい。」
「叔父様…まさか!?」
 あぁ…不安が現実味を帯びてきた…。叔父の仕事って確か…。
「そうだ。悪魔払いだ。」
「やっぱりそっちの仕事ですかっ!?」
 物凄く嫌だ!それも遥々ドイツへまで足を運んで、なんで副業の方をやらなきゃならんのだ!?宣仁叔父は優秀なエクソシストなんだから、俺を引っ張り出さなくても解決出来るだろうに…!
「京之介。何も無理にとは言わんが、日本にいても企業に食われて終る。」
「叔父様。これでもCDだって発売が決定してます。私の演奏を待っている方もいる
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