17部分:第十七章
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りませんね。網を張って」
そう言うと懐からカードを取り出した。
「今までは大アルカナだけでしたが今回はこれも使いましょう」
「小アルカナね」
「はい、これを」
速水は宙に投げた。投げられたカードはすぐに宙を舞いあちこちに消えていった。
「彼等を目付けにしましょう」
「それじゃあ私も」
その身体を複数に分かれさせた。七人の沙耶香がそこに姿を現わした。
そのうちの六人がすっと床の中に足から入って行った。そのまま床の中に消えていく。
「これでいいわ」
「分け身ですか」
「そうよ、何かを探るにはこれが一番」
「上手く尻尾を掴めればいいですがね」
「そうね。けれどこれで見つからないなら」
「その時はその時でまた考えましょう」
「ええ」
二人はまたそれぞれの術を使って捜査を開始した。だが事件はそんな二人を嘲笑うかの様にまた起こってしまった。今度は風呂場の一つで起こった。
この屋敷は洋館ながら風呂場がある。シャワーではない。それも男と女で二つずつだ。事件はそのうちの女湯の一つで起こったのであった。
「今度はここなんてね」
話を聞いた沙耶香と速水はそこで新たな犠牲者を見た。今度は看護婦の一人が犠牲者であった。時刻は夕刻、もう風呂が開く時間であった。そこで早速起こったのであった。
「またしても、ね」
「ええ」
速水は犠牲者を見ながら沙耶香の言葉に応えた。その言葉には沙耶香と同じ苦い感情が聞けた。
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