case.5 「夕陽に還る記憶」
X 3.5.PM6:31
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、先日頼んだことで何か分かったんだろう。
「今晩は。こんな時刻に電話なんて…例のことで何か?」
「ああ、それで連絡したんだ。先ず、昭和初期の地図だが、見つかったから郵送しておいた。もう届いてると思うんだが…」
…郵便は放ってあったな…。最近忙しくて、さっぱり目を通してなかったよ…。
「ま、忙しい君のことだし、まだ見ていないと思うがねぇ。」
天宮氏は、多少笑いを堪えた様子で電話口で言った。何でもお見通しだな…全く、敵わないや。
「すいません…。」
「いや、いいんだよ。そう思って電話してるんだからね。それで次だが、聖ぺテロ教会の移転だが…空襲のあと、二回は移転しているようだ。」
「え?教会が二回も…ですか?」
「まぁ、最初はそこへ再築されたんだがねぇ…。後の地画整理で土地の価格が変動して、それを狙った不動産屋に買い上げられたらしい。教会自体は移築されたが、墓は親族の特定出来るもの以外は、全て埋め立てて更地にしたようだ。何とも酷い話ではあるが…親族にはそれなりの金を払ったようだ。墓を移動させるため…と言うよりは、口封じだったんだろうがね。」
「で、その土地はどうなったんですか?」
「先ずは住宅を建てたようだが、直ぐに取り壊され、道路になった様なんだが…。詳しい番地やなんかは全く抹消されていて分からんのだよ…。ま、戦後のどさくさで、ここまで資料が残っていたのはラッキーだったがね。」
何てことだ・・・。高坂神父、田邊と三人で話していたことが、まさか実際に行われてたなんて…。
「それで、その墓所に埋葬されていた人物のリストはあったんですか?」
「いいや。それは教会側に残されていたはずなんだが、それがどこにも見当たらないんだよ。土地を買い上げた不動産屋も倒産しているし、都にも埋葬場所に関しての記録は無かった。」
国の大臣をも動かせる天宮グループでも掴めないか…。だが、小野朝実の遺骨が道路の下であるなら、俺にはどうすることも出来ない。しかし、現に彼女の記憶は、もう一人の亜沙美に転写されているんだから…きっと彼女、栗山亜沙美の行動範囲内にあるはずだ。
「天宮さん。御忙しいのに、本当に有り難う御座いました。後はこちらで、天宮さんからの情報を元に何とかします。」
「ま、何かあれば、またいつでも連絡してくれ。それじゃ、お休み。」
「ええ…お休みなさい。」
俺はそう答えて受話器を置くと、美桜が一通の封筒を持ってきて言った。
「お兄様。例のこと、天宮さんにも頼んだんですの?もしや、これもそれ関連できてますのかしら?」
それは大判の封筒で、俺はそれを受け取って裏を見ると、そこには天宮グループの名前があった。
「そうだ。天宮さんには旧い地図の写しを頼んでたんだよ。」
「そんなの、図書館にでも行けば見付かるじゃないの!」
「いゃ…あ
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