帝国学園の敗北
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俺達は迫ってくる二回戦の戦いに向けてイナビカリ修練場で特訓に励んでいた。
すると、音無が何か慌てたように走ってきた。その場に居た俺、円堂、豪炎寺は音無に顔を向けた。そして音無は息を切らしながら、俺達の前に止まると話を始めた。
「てっ、帝国学園が…!」
「初戦突破か?よし!」
円堂はそう叫ぶと俺と豪炎寺にハイタッチをした。
「10対0で…」
「相変わらず強いな帝国は…!こりゃまた決勝戦で戦うのが楽しみだぜ!」
俺も帝国の勝利を確信してガッツポーズを作る。
「世宇子中に…完敗しました…!」
それを聞いた俺達は、驚きと共に嘘だという考えがよぎった。
「う…嘘だろ音無…!」
最初に口を開いたのは円堂だった。
俺も円堂に続き話す。
「それに10対0だって…?あの帝国学園が一点も取れない訳がない!!ガセじゃないのか!?あの帝国学園が初戦で負けるわけねぇだろ!」
音無は顔を下に向けると呟いた。
「見たことのない技が次々決まって…帝国が手も足も出なかったそうです…」
すると円堂が叫んだ。
「あの帝国が‥!?そんなわけない!あいつらの強さは戦った俺たちがよく知ってる!あいつら本気で強いんだ…!鬼道がいるんだぞ!」
「お兄ちゃん出なかったんです…」
「えっ…」
「お兄ちゃん、うちとの試合で怪我していたみたいで…相手はノーマークの学校だったから、大事をとって控えに回っていたんです…そしたら相手が圧倒的で…傷を押してお兄ちゃんが出ようとした時には、もう…」
「ぐっ…そんなこと絶対ありえねぇ!」
ダダダダダッッ!
(あいつらが負けるなんて…帝国が1点も取れないなんて…!)
円堂はいてもたってもいられず、帝国学園に向かって走り出した。俺も円堂を追いかけ帝国学園に辿り着いた。
そして俺は、ただ一人グラウンドで呆然に立ち尽くす鬼道を捉えた。
「「鬼道っ!」」
俺と円堂は同じタイミングで鬼道に叫んだ。
「よう、円堂、雷藤…笑いに来たのか…」
俺は絶句してしまった。
もはや絶望のあまり薄ら笑いを浮かべていた。まるでいつもの鬼道とは全く別人ではないかと疑ってしまうほど、その姿は鬼道とは思えないほど、貧弱なものに感じた。
そんな鬼道を見ていられない円堂は、気合いを入れてやろうと鬼道へボールを蹴るが…。
ぼかっ
「…」
「鬼道…どうした、蹴り返せよ…!」
棒立ちのままボールを食らった鬼道は、よたよたと倒れそのまましりもちをついた。
そしてふらふら立ち上がった鬼道は、ボールを見ているうちにまたあの悔しさがこみ上げて来てしまったのだろう…、鬼道は震えた声で呟く。
「……く…ぐ…っ!4
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