第6話 裏切った者への接触
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た。
一瞬だけだが、ここにいる俺が捕捉されたのかとも思ったが、すぐに違うと結論が出る。
「同時に海中を航行中のイ401も捉えた、という事は401と霧の決戦と考えれば良いか」
同時に海中を30ノット前後の速度で走るイ401の姿も捉えたからだ。
大胆でありながらそれでいて慎重さも垣間見える動きは、明らかに今の霧では不可能な動きをしているから、イ401に人間が搭乗して操艦しているのは確実とみるべきだろう。
こうして自分の目で動きを追う事で見えるものがあるもんだな。
「じゃあ、パーティーに乗り遅れないようにしないとな」
現在地は宮崎県の沖合200km付近、ここから最大速力で急いで行けば間に合う距離でもある。
そう考えると推進部に出力を伝達させて空中へと飛び出して、現地へと急行していくのだった。
ここで彼らと接触を持てなかったら、次の機会が何時になるのかも分からないしな。
そうして現場に付いた俺の眼前には駆逐艦34、軽巡18、重巡10、戦艦4という陣容の大艦隊が存在していた。
恐らくは現状で集められる巡航艦隊の全戦力なのかもしれん、それに今まで俺が暴れてきたから余計に戦力が強化されているのかもしれないな。
何しろ集中攻撃を受けている401の周囲には、大量という言葉も生温い魚雷やミサイルが降り注いでいるのだから、これまでの戦闘から単艦ごとであれば戦術の違いで一方的に401に蹂躙されると理解して、物量で押し切る方向に打って出たようだな。
「まあ、これも一つの戦術として正しいな」
こん無物量の暴力というよりも暴虐というべき状況の中を、401は的確な操艦とクラインフィールドによる防御を利用して掻い潜っていくのを見て、あの艦に乗っている人間というよりも艦長は余程肝っ玉が据わっているのだろうと思う。
毎秒数百を超える浸蝕弾頭兵器の群れを掻い潜り、更には反撃までしているというのだから、艦長だけじゃなくて乗員の能力も優れているのだと改めて思わされる。
「さてと401に対して短波発信でメッセージを送らないとな」
これは前から考えていた事でもある。
人類の封鎖下にあった401に搭乗して霧に反抗する者達に対しての協力、これは俺自身にとっての目的を果たす近道になりそうでもあると、判断していたからでもあることだ。
俺の最終目的はアオガネを飛翔させて宇宙へと旅立つ事、まだ見た事のない光景を見たい、これが今の俺にとって霧と人類の争いを終わらせる、もしくは両者が拮抗させて地球からの脱出を図る一番の近道となっていると判断できるから。
そうして、俺は遂にこの世界に生きる人達への本格的な介入を開始したのだった。
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