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トワノクウ
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最終夜 永遠の空(三)
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さんが昔置かれて、鴇先生が今置かれている立場。何て酷い役目。何て酷い責任。こんなものを世界規模で背負わせるなんて。鴇先生じゃなくても重すぎる)

 そのようなとてつもない重責からは、一刻も早く鴇時を解放せねばならない。元より、くうはそのために生まれてきた子どもだ。

 だが、その前に、周りでくり広げられる惨劇を治めることもまた、誤りなきくうの願いで本心だ。


「がしゃどくろ。上よ」

 はっとした。今のは明の声だ。

 巨大な骸骨の頭がゆっくりと天をふり仰いだ。
 がしゃどくろはゆっくりと立ち、賛美するように両手を挙げて、雲の中に突っ込んだ。

 ガラスが割れる寸前のような音がした。

「空が――軋んだ?」
「これは、六年前と、帝天の出現前と同じ……!」

 割れた空の中からがしゃどくろが、両手で何かを包んで引きずり出した。

 がしゃどくろが掴み出したのは、人だった。
 その人には、蜘蛛の巣に掴まった虫のように、無数のコードが絡みついていた。そのコードによる拘束で、辛うじて天から落ちずにすんでいる状態だ。


「鴇……せんせい?」


 六合鴇時と関わった全ての人と妖に驚愕が走った。

 どんなに遠くにいても、くうには分かる。あれは、鴇時だ。

 がしゃどくろの手が一度、鴇時から離れた。離れた手の平から、無数の小さな手が放たれ、鴇時に縦横無尽に掴みかかった。
 骨の手たちは、鴇時を天から引きずり落とそうとしている。

「だめぇ!!」

 くうは背中に白い翼を広げ、地を蹴って空へ舞い上がった。空を翔け、一直線に鴇時を目指した。
 ぶら下がった鴇時の直下に辿り着いて、くうは鴇時に覆い被さった。無数の白骨の手から鴇時を少しでも守ろうとした。


「やれ! やっちまえ!」

「そのまま潰してしまえ!」

「救わぬ神など要らぬ!」


 地上の声を力に変えたように、亡者らの骨の手が、くうの髪を引っ張り、ドレスを裂き、肌を引っ掻き、全身を殴る。

 耐えろ、とくうは己を叱咤する。この身は不死(しなず)でありどんな傷も再生するのだ。唯一空を飛べるくうが鴇時の盾にならずして誰がなる。


 ――もういい。やめるんだ、くうちゃん。


 はっとして、くうは鴇時を見やった。
 鴇時は目を閉じ、無気力にコードに絡まって眠ったままだ。テレパシーのようなものだろうか。

「やめません……! 鴇先生、何にも悪くないですもん!」

 次々と掴みかかってくる骨の手を振り解き、叫ぶ。

 あまつきのために我が身を捧げた鴇時の、どこに非があるものか。


 ――これを構成する呪いの念の元は、みんな俺が見捨てたものだ。
   運命を自分自身で選んでもらうなん
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