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トワノクウ
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最終夜 永遠の空(一)
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げた。

 くうは翼を駆り、思いきって明と同じ高さまで翔け上がろうとした。

「くう!」

 朽葉がくうを呼んだ。それだけで朽葉の意図は察せた。

 くうは方向転換し、弁天堂へと飛んだ。
 くうが近づいた瞬間、朽葉は屋根を蹴って宙へ身を投げた。くうは跳んだ朽葉をキャッチし、二人で明のいる高さまで翔けた。


「やあ、来たの」
「明おばさん! これってどういうことですか。全然意味分かんないですよ!」
「これはね、人でも、妖ですらないよ。これは神様への呪い。人と妖、両方の呪いの念が詰まった兵器。空を割って天へ至るための梯子」
「天へ……至って何を、どうしようっていうんですか」
「鴇を排して自身が帝天になろうという腹積もりか? もしそうなら」

 朽葉が仕込み刀の鯉口を片手で切った。

「神様になんかなりたくないよ? 私。あまつきの帝天は鴇時さんじゃん」

 何を馬鹿なことを、と言わんばかりの明の答え。

 がしゃどくろが蹲る。明が立つがしゃどくろの頭も低い位置になる。くうは慌てて追った。

「君達ってほんっと短絡的! 六年前もそう!」

 明は声を張った。集まった皆々、特に鴇に関係する者に聴こえるようにしたように見えた。

「せっかく夜行(わたし)が共通の敵≠ノなって、あんなに暴れ回ってあげたのに。結局、空芒が人のせいか妖のせいかで揉めて、決着もつけないまま、萌黄さんから鴇時さんに帝天にすげ替えただけ。もー付き合ってらんない。二度も嫌われ者の悪役になってあげるほど、私は優しくない。異種族同士で結束できるような試練も状況ももう用意してあげない」

 明はがしゃどくろの頭の上に立ち上がった。

「告天として最後の宣告≠諱B――神は今日死んだ。この世には人と妖しかいない。最後の一人まで殺し合って、勝ったほうがあまつきを支配しなさい」

 告天が手をかざした瞬間、不忍池の湖面に留まっていた瘴気が、瞬きの間に、池と土の境界を跨いで東京の町に広がった。
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