二十四話:無限書庫と日常
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「起きろや! 寝坊助ーーッ!!」
「アイエエエ! 冷たっ!? 冷たナンデ!?」
突如として背中に痛いほどの冷たさを感じて一瞬で飛び起きる俺。
慌ててパジャマを脱ぐと中から氷がポロリしてきた。
そして、眼前には怒っているような、笑っているような、器用な表情をしたハリー。
さらにその後ろにはまさか本当にやるとは、といった顔のミア、ルカ、リンダが居た。
ハリーの悪戯だと把握した俺は四人を一瞥した後再び布団をかぶり、
「おやすみ」
『二度寝すんな!』
全員に盛大にツッコまれた。
言いたいことは色々とあるが取りあえず一つだけ訂正しておく。
「二度寝じゃない、三度寝だ」
「どっちでも同じだろ!」
「気持ち的には三度寝の方が良く寝た気になれる」
「いいから起きろ!」
布団を無理やりはぎとられて床に叩き落とされる。
そこでようやく何かがおかしいことに気づく。
「それで何でお前達が居るんだ? こんな時間に」
「お前を起こしに来たに決まってるだろ。後、時間見てみろ」
ハリーに言われて端末を取り出して時間を見てみる。
確か集合時間は9時だったはずだからまだ十分時間はあるはずだ。
【AM 8:50】
………ゴシゴシと目をこすって見直してみるがやはり時間は8:50のままだった。
これはもしかしなくてもマジで遅刻する十分前というやつではないのだろうか?
「さっさと着替えて来ねーとおいてくからな」
「ハリー、俺の朝飯はどうすればいい?」
「パンの耳ならあるよ」
ミアがどこからかパンの耳が入った袋を取り出して俺の前に置いていく。
その間に四人は部屋から出て行く。
そんな四人の後ろ姿を見ながら俺はパンの耳をもそもそと食べるのだった。
「大変です、八神先生!」
「なんや、五分前行動せーよって先生言うたやろ」
「パンをくわえて走ったのにパンツを拝むどころか誰ともぶつかりませんでした!」
「そら、パンの耳だけくわえとっても効果薄いやろ」
バッサリと斬りおとされる男の淡い幻想。
できるだけ直角の角を狙って走ったのにかすりもしなかったのは予想外だった。
そもそも、誰ともすれ違わなかったので途中からかなり虚しかった。
「せめてジャムだけでも塗るべきだったか?」
「論点がずれていると思うのは私だけでしょうか……」
「気のせいさ、リオちゃん。後、ミアはパンの耳くれてありがとうな」
「……なんかパンの耳で礼を言われても嬉しくないっス。そもそもあれは廃棄用―――」
「おっと、それ以上は俺の胃に深刻なダメージを与えそうだから却下だ」
何となく胃が痛くなってきたような気もするが全て気のせいだ。
ミアの口から廃棄用と
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