ファンディスク:神話と勇者と断章と
VS《白亜宮》!
《夢仕掛けの神》VS《白亜の女神》
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。その事は不自然で、不思議だった。
しかし少年神は、くつくつ笑って答えをもたらす。
「それを聞きたいのはこっちの方さ。キミが突然、僕たちの領域に墜ちて来たんだ。大方、何かしらの理由でキミという《存在》が重くなりすぎて、セカイが耐えられなくなったんだろうね。それ故落下を始めたんだよ。ここに──『座』に向かって」
──相変わらず、話の長いひと。
──歌の一つで解決してしまう、あの人とは全然違う。
どんな人物が話し相手でも、忌々しさを感じさせてしまうこの少年神に辟易しながら、ソーニャはそんなことを考える。
兎も角、彼の言いたいこと、言っている事は理解できた。理由の心当たりもあった。だが──問題は、どうやって此処から帰るか、だ。
他人の心を読む白き神は、ソーニャが口に出す前に、その疑問に答えた。
「そうだねぇ……僕を殺して、『座』を奪い取ること、かな。そうすればこのセカイがキミの物に塗り代わり、あらゆる全てが自由自在──」
その瞬間だった。
「《機械仕掛けの神の夢》」
夢神は、その権能を行使していた。己の願いを媒体にして、あらゆる『夢』を具現化させる神の技。顕現したのは巨大な鎌。音符の刻まれた、処刑鎌──
体は勝手に動いていた。明らかに、《主》の口にした、『世界を自由に操る力』に反応したのだ。
ソーニャの放った一撃は、狙い違わず少年神の首筋に向かって吸い込まれ──
「危ないなぁ、もう」
半透明の障壁に、激しい音と共に弾かれた。
「くっ……」
「この宇宙をキミの夢で埋め尽くしたいのかい? 悪いね、僕もこの愛を奪われる訳にはいかないんだ──グリヴィネ」
そして、天に輝く星のひとつが、明るく眩く煌めいた。それは微かな、しかし確かな兆候。
「はい、お兄様」
神の傍らに、白き女神が舞い降りた。
真っ白く、長い髪の毛は、先端に行くにつれて紅蓮色に、鮮やかに染まって行く。纏うマフラーも同じ色。瞳の色は、輝く紅蓮。
浮かべる笑みは慈愛の微笑み。包み、寄り添う、女神の笑顔。
彼女の名前はグリーヴィネスシャドウ。グリーヴィネスシャドウ・イクス・アギオンス・アンリマユ。《白亜宮》の王妃にして、《主》の最高眷族筆頭。
「キミの相手は彼女だ。僕を殺したければ、彼女を突破してくるんだな──もちろん、そんな事はさせないけどね」
くつ、くつ、くつ。静かに笑って、《主》が消える。残ったのはソーニャとグリヴィネの二柱だけ。
「……そこを、退いてください」
ソーニャはグリヴィネに向かってそう言い放つ。けれども、それが聞き届けられる筈がない事は、当然理解
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