くろすつぇるさんのためいき
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げるアーレスト。
と、自分の顔を覗いて半歩退いたベゼドラ。
……どういう意味だ。
「でもそれ、東区の司教様にはきちんと許可を取ってきたんでしょうね? まさか、貴方ほどの神父が教会を放置してきた、なんてこと……」
「事情がありましたので」
ばか正直に『信仰していた女神の本物を追いかけています』とは言えず。
この場は適当に誤魔化すしかない。
中央教会に真相を知られたら、それこそ面倒な事態を招いてしまう。
「ふぅん。まあ良いわ。クーちゃんにはクーちゃんのやり方があるものね。でも良い? 絶対に命を粗末にしてはダメよ。絶対に。生きて生きて生きて生き抜いてこその世界なんですからね!」
再び頭を抱えて頬ずりするアーレスト。
だから何故、毎回頭を抱えるのか。
「ええ。よく理解しています」
苦笑いを浮かべて、アーレストの背中をぽんぽんと軽く叩く。
「では、私達は先を急ぎますので」
「あ、ちょっと待ってクーちゃん。そっちの黒づくめの人と話をさせて?」
「あ?」
ベゼドラの顔が、心底嫌そうに歪んだ。
リーシェやアーレストのような賑やかな性格は本当に嫌いなのだろう。
既に逃げる体勢に入っている。
「すぐに済ませるから。ね?」
「……あまり追い詰めないでくださいね」
「もっちろん! さ、黒い人。ちょおーっとこっちへ来てちょうだい!」
背中を向けて走り去ろうとしたベゼドラよりも素早くその腕を捕らえて、二人は馬車の反対側へ回り込んだ。
ここで話せば良いのに、何故わざわざ移動するのか。
自分に聴かれては困る話でもあるのだろうか?
「お待たせ〜! 引き留めちゃってごめんなさいね、クーちゃんっ」
本当にすぐ笑顔で駆け寄ってきたアーレストと。
疲れた様子で足取り重く戻ってくる、顔色が悪い? ベゼドラ。
「いじめてませんよね?」
「まっさかあ! 慈愛の女神アリアに仕える者として、そんな蛮行なんかはしていないと誓うわ! ま、ちょっとだけ脅し? とかはしちゃったけど」
「……アーレスト……」
軽快に笑う友人はずば抜けて優秀な教師だが、時々凄まじい毒を吐く。
中央教会に居た頃に『口達者』と嫌みを言われていた自分を軽くしのぐ、槍のような辛辣な物言いをするのだから、恐ろしい。
「クロスツェル」
不意に真面目な声で呼ばれ、アーレストの顔を見上げる。
芸術品を連想させるほどに整いすぎた顔立ちが、自分をまっすぐ見つめて目を細めた。
「貴方に女神アリアの祝福が舞い降りますように。願いが叶うと良いわね」
「……ありがとうございます」
冗談も茶目っ気も感じさせないアーレストの瞳に、自分は微笑みを返す。
頭にポンと置かれた手が
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